獣医学課程紹介 基礎獣医学研究部門長 教授 北村 延夫

 入学おめでとう。ようこそ十勝・帯広・畜大へ。当代は多様化と可塑性の時流であり,大学および大学生にもそれが求められています。畜大にも様々な学生がいて,様々な教職員がいます。そういう中にあって,確固たる自己の確立が必要です。6年間というのは今から思えば長いようですが,卒業時に振り返れば結構短いです。特に,何かをしてきた6年間というのはとても短いです。課外活動,ボランティア,アルバイト,等々なんでもよいので一所懸命努力することです。しかしそうは言っても,大学なのだから最優先すべきは学業でしょう。皆さんがこれまで過ごしてきた学校と違って,大学は自分で勉強するところです。受験勉強からの切り替えが必要です。畜大での学業は全学農畜産実習に始まって,基盤教育,共通教育,展開教育と進み,卒業研究に至るまですべてが人生の糧となり,無駄な科目はありません。3年生までの所定の科目を1単位でもとりこぼすと留め置きとなり4年生からの授業を受けることはできません。畜大は自分で勉強しようと努力する学生を支援する体制ができています。教職員一同はそれを応援する気持ちで一杯です。あの厳しい入学審査を通過して来たのだから畜大生皆は基本的に優秀です。ほんの少しやる気を出せば出来てしまいます。とにかく何かをすることです。畜大生に肝要なのは自律と自立。自分で決めたことに自分で対処するのはすばらしいことです。

 獣医学は高等動物の「生命活動」を扱うという性質上,我々の仕事は計算どおりに事が運ばない場面が多々あり,時にはつらいことにも直面します。その時の対処のためにも,修得内容の質的向上が求められます。6年間の卒業要件単位を機械的に満たすだけでなく質的にも有意義なものとしてください。6年間には学業だけでなくさまざまなことにめぐり会うでしょう。畜大時代に生涯の友を得る人も少なくありません。その一方で,いいことばかりではないかもしれません。そんなときには一人で抱え込まないで友人や担任等教員そして相談室等々とにかくなんでも話してみてください。

 獣医学は元来が境界領域の学問ですが,近時ますます多様化する傾向が強くなっており,変革の時期を迎えています。産業動物,伴侶動物,野生動物,衛生・感染症,食の安全,製薬等々の実に様々な職域に携わる獣医師は今まさに質的向上が求められています。それに応えるのがこれから獣医学を修得しようとしている畜大生諸君であり,それを応援するのが教職員であり,教育プログラムです。本学獣医学課程は,基礎獣医学,臨床獣医学,畜産衛生学の各研究部門に所属する教員ならびに他の部門の協力教員によって獣医学教育プログラムが実行されます。せっかく金の卵で入学するのですから6年後には国家試験を通過して金のひよことして巣立って欲しいものです。与えられる学習ばかりでなく,自ら進んで学ぼうとする,そして獣医師になろうとするだけでなく,獣医学を幅広く修め,「よく学びよく遊べ」を実践しようとする学生諸君の活動を期待しています。本学はそういう学生にとっては幅広い領域に生で接することのできる絶好の環境です。校舎,講義室,動物医療センター等々も改修されたし,大学周辺環境も含めて,ハード面とソフト面両方で大きく変わってきています。新しい学生気質を形成するにはもってこいです。そうすれば,たとえ何もない大地だと思って入学したとしても,何でもあったと思うようになって卒業できることでしょう。


畜産科学課程紹介 地域環境学研究部門長 教授 三浦 秀穂

Spring has come! 入学おめでとうございます。新型インフルエンザに振り回された受験シーズンを乗り越え,無事入学された皆さんならびに支えてこられたご家族に心からお祝い申し上げます。皆さんは今どうしていますか。キャンパス内を散策し,アカゲラやエゾリスなどの小動物と面会をすませた頃でしょうか。それとも,引っ越しや入学関連の行事疲れで春眠暁を覚えずでしょうか。

 さて,本学は来年平成23年には創立70年を迎えます。獣医学課程では,ご承知のように獣医師のためのライセンス教育に主眼がおかれ,一方皆さんの所属する畜産科学課程では農業,食料生産の幅広い分野で活躍できる人材の育成を目指した教育を行っています。これからの1年間は基盤教育のなかで,大学で学習する基盤となる知識,技術を培っていきます。高校の授業とは趣がかなり異なりますので,戸惑いを感じたり,学習意欲を欠くときもあるかも知れません。そんな皆さんの視野を広げる授業をひとつ紹介します。全国でもユニークな「全学農畜産学実習」です。入学した皆さんは30数名からなるクラスに分かれて,まずはヒツジの毛刈りからスタートします。皆さんも怖いでしょうが,ヒツジはもっと怯えているかも知れません。続いて畑でのジャガイモの植え付けや野菜栽培,朝夕のブタのお世話,そして太らせたブタを屠殺しソーセージにします。残酷なようですが「食を育む」またとない体験になるでしょう。各クラスは3名の担任がお世話をします。昨年本学では10数名の20代後半から30代の若手教員を採用しました。彼らの多くが担任として皆さんの身近にいますので,勉学のみならず恋の悩みなども相談してみては。

 北の大地の1年は季節の移ろいとともに瞬く間に過ぎます。2年生になった皆さんは教育組織であるユニット(生命科学,家畜生産科学,食品科学,環境農学,農業経済学)を選択し,高度な専門教育が始まります(各ユニットの説明は別の機会に譲ります)。入学後のこれから1年間,無気力・無関心なままに勉強をおろそかにしているとしっぺ返しを受けるのが2年次です。ライセンス教育ではない本課程で問題意識のないまま専門教育を受けることは避けたいものです。解決策は何か。カリキュラムや単位の取り方について正確な情報と理解が大切ですので,教職員のみならず信頼できる先輩の助言を受けるのも一つの手です。

 最後に課外活動についてふれます。本学では4月1日より中期目標の一つに「恵まれた十勝の自然環境を活かしつつ,潤いと活気があり,豊かな人間性を醸成できるような学びあいのコミュニテイを創出する」ことを掲げています。「学びあいのコミュニテイ」とは「個」と「集団」とが融合し合うことにより,皆さん一人一人の人間性を育もうとする場を意味します。「集団」といっても体育会系や文化会系のサークル,アルバイト,ボランティア,3年生以降の所属研究室,あるいは友人との集まりなどいろいろでしょう。「個」として,各人が学業に勤しみ教養を身につける一方で,複雑な人間関係や変化する社会情勢に対応できるようこれらの「集団」の中でもまれることも重要です。本学は来年創立70年を迎えると述べましたが,皆さんが「学びあいのコミュニテイ」で稔りある学生生活を送り,本学の新たな1ページを織りなしてくれるよう望みます。どうぞよろしく。


別科紹介  別科主任 本江 昭夫

 別科の新入生の皆さん,ご入学おめでとうございます。別科は,農業後継者の養成を目的として1960年に設置されたので,今年は創立50周年という記念すべき年にあたります。そこで,3月20日に多数の卒業生と関係者が列席して,記念式典と記念講演を行いました。新入生の皆さんは,このような伝統ある別科の記念すべき51期生になります。別科では,これまでに千人を超える修了生を輩出しており,そのうちの多くの先輩は,北海道の農畜産業の分野でリーダーとして活躍しています。  別科教育の特徴は,農業後継者の教育支援を目的としているために,農畜産業の現場に対応した実学が重視されていることです。そのために,別科専任教員はもとより,畜産学部や畜産フィールド科学センターの教職員も含めて,全学をあげて支援する体制を整備しています。実践的な教育をとおして,将来の農畜産業の経営者として必要な,土作りや草作り,家畜や牛乳などの畜産物生産,あるいは,経営についての理論と実際を身につけます。また,所定の科目を履修し単位を修得すると,「家畜人工授精師(牛)」と「認定牛削蹄師」の資格が取得できます。

 それでは,別科で実施されている特色ある科目をいくつか紹介しましょう。「夏季農家実習」では, 実際の農家に3週間にわたって宿泊し,農家の作業を体験します。この実践的実習をとおして,農業経営や農畜産業の現状把握をどのように行うのか,その方法について理解を深めます。また,「特別実習U」として,3泊4日で行う研修旅行があります。北海道内の特色ある農家,あるいは農業試験場や農業関連施設などを視察して,農畜産業についての知見を広めます。さらに,2年生になるとグループ単位で行う「特別研究」があります。自分たちで研究課題を探求し,実験の計画を立案し,データを収集し,結果を分析して,論文にとりまとめるまでを体験します。最後には,発表会において研究成果を口頭で発表します。これら一連の作業を完成させるまでにほぼ1年かかります。この期間に,仲間同士の相互理解を深め,さらに,協調性,創造性,論理性など,社会人として生きていくために必要な素養を身につけます。

 学生生活をはじめ,教育や就職などに関して悩みがある時は,専任教員の熊瀬登先生,1年生の学級担任である石井三都夫先生,2年生の学級担任である松長延吉先生に相談してください。さらに,困ったことや分からないこと,あるいは,心や健康についての心配ごとについては,学生相談室,学務係,学生支援係,保健管理センターなどのスタッフが相談にのってくれます。自分だけで問題を抱えて悩むことはしないで,スタッフに遠慮なく相談してください。きっと,解決方法が見つかるはずです。

 これからの世の中を変えていくのは,皆さんのようなパワーある若者です。わが国の混沌として先が不透明な農畜産業の現状を打開できる若者を目指してください。別科での2年間は,自分の才能を開花させるための重要な時期にあたります。目標と希望を持って努力すれば,皆さんも,多くの先輩と同じように,農畜産業の分野でリーダーになることができるでしょう。そのために,充実した学生生活が送られるよう,心から祈念しています。





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