取組の有効性

1.教育上の効果

 平成14年から17年までの全学農畜産実習では,病気などやむを得ないものを除いて履修者のほぼ全員が積極的に参加して単位を取得しており,このことが導入教育としての教育効果を支えている。

 畜産科学科においては,全学農畜産実習で専門教育ユニット全体の教育内容を体験することで,イメージや思い込みによるユニット選択の偏りが是正され,バランスのとれたユニット選択が実現されている(図3)。学生からの評価を見ても,学生の約半数が全学農畜産実習がユニット選択の参考になったと答えている。入学時の希望と違ったユニットを選択した学生だけに限ると,大多数の学生が実習の経験を参考にユニット選択を変更している。

 また,全学農畜産実習によって学生は農畜産の幅広い分野の経験や知識を得ることができている。学生からの評価を見ても,「農畜産のいろいろな分野を理解した」という評価が畜産科学科では過半数を超え,獣医学科でも「獣医学以外の農畜産業について理解できた」という意見が過半数を超えている(データ資料等 表3,4)。

 学生の対人関係の確立,コミュニケーション能力の獲得にも確実な効果がみられる。畜産科学科では「クラスの仲間と親しくなった」を挙げた学生が最も高い比率を示している し,獣医学科でも「畜産科学科の学生と親しくなることができた」が過半数の学生から選択されている。また,実習以外の場でもクラス単位のレクリエーションなどが自発的に行われている。

 こうした教育効果は,実習以降の授業科目によってさらに強化される。1年後期の「基礎学術ゼミ」では実習で培ったコミュニケーション能力を基礎にプレゼンやディベートの能力が鍛えられるし,「展開教育入門Ⅰ,Ⅱ」では専門教育ユニットの自主的な選択が引き続き支援される。

2.教育効果の測定方法

 大学教育センター教育改善部は原則としてすべての授業科目を対象に,毎年それぞれの開講期に「学生による授業評価」を平成12年から実施している。また,全学農畜産実習への学生からの意見や苦情,要望などは各クラスの学生支援教員を通じて大学教育センターに報告されるようになっている。なお,本申請にあたり学生からの評価をより詳細に把握するために,平成17年度の実習に参加した学生全員を対象にアンケート調査を行った。

3.学生および教職員の評価

 これまでに行われた「学生による授業評価」では,全学農畜産実習は授業評価の平均を上回る評価を得ており,学生から一定の評価を得ていることがわかる。履修者に対するアンケート調査でも,さまざまな側面から学生の多くが全学農畜産実習の意義を認めていることがわかる。また獣医学科でも過半数の学生が全学農畜産実習全般に積極的な意義を認めているだけでなく,個々の側面でも意義を認めている。

 教職員からの評価については,実習への参加経験を持つ教員の比率が上昇するとともに,教員からの積極的な評価が高まっている。最近では教員が自発的に実習に参加する例が増えていることからも,教員からも全学農畜産実習が肯定的に評価されるようになったことがわかる。