実施プロセス

1.この取組を実施するに至った動機や背景

 帯広畜産大学では平成14年度に,4学科構成であった畜産学部を獣医学科,畜産科学科の2学科構成に改組するとともに,畜産科学科では旧3学科の専門教育分野を9つの 「専門教育ユニット」に再編して,入学者が学年進行の中で専門教育ユニットを選択する「アドバンス制」教育システムを導入した。


学科の改組と専門教育ユニット

 これは,農畜産についての不確かなイメージや思い込みで学科を選択して入学してくることで,入学後に現実のズレから学習意欲を失う学生が増加したり,イメージと合致するコースや研究室だけに学生が殺到することへの対処を目的としている。アドバンス制教育システムでは,一定の農畜産の基礎的知識や経験を身につけた上で専門教育ユニットを選択するため,イメージや思い込みではなく現実の農畜産に立地した自主的な専門教育の選択が実現された。

 アドバンス制教育システムにおいて専門教育ユニット選択の前提となる農畜産の基礎的 知識や経験を提供する導入教育として立案されたのが,「全学農畜産実習」を中心とした本取組である。ユニット選択制をとっていない獣医学科においても全学農畜産実習にあえて参加させることで,本学の教育理念と合致した農畜産の幅広い知識と見識をもった獣医師の育成につなげることを目指している。

2.当該課程教育における本取組の意義

 畜産科学科では,全学農畜産実習を通じて農畜産の幅広い分野について基礎的な知識と体験を培うことによって,自分の希望や特性,進路展望に合致した専門教育ユニットを自主的に選択させることが,本取組の意義である。獣医学科では,獣医学教育と並行して全学農畜産実習に参加することにより,幅広い農畜産の知識と体験を獲得し,食の安全性の確保のために活躍する獣医師として必要な見識を培うことが可能になる。


全学農畜産実習の効果

 また,学生をクラスに編成して実習に参加させることで集団活動の基礎的経験を与え,同級生とのコミュニケーションと共同作業を促進すること,畜産科学科と獣医学科の学生との相互理解を育むことは,本取組の学科を超えた意義である。

3.教育目標達成に向けたプロセス,問題点やその解決

 本取組はアドバンス制が導入された平成14年度から実施された。実施時点ではユニット選択制をとる畜産科学科の学生だけを対象として畑作,搾乳,乗馬など合計6種類の実習メニューが用意された。この時点での実習メニューは畜産科学科の専門教育ユニット全体を網羅しておらず,ユニット選択の支援という目的からみて不十分であった。また,教員の参加も畜産科学科の一部に留まった。

 しかし,平成17年度には実習メニューが10種類となり,専門教育ユニットの大多数をカバーするようになった。また,人文社会系教員・外国人教員も含めた全学的な参加体制の確立にともなって実習への理解が進むとともに,財政的支援の体制も確立された。

 また,ユニット選択の支援以外の面でも全学農畜産実習が学生の大学生活への適応や人間的成長によい影響を与えていることが評価されるようになった。平成17年度には獣医学科が参加して,実習は名実ともに全学農畜産実習と呼べるものになった。

4.本プログラム不採択後の改善点

 今回申請の改善点としては,まず平成14年からの本取組が畜産科学科については完成年度を迎え,その意義や効果が明確に判断できるようになったことが挙げられる。また,獣医学科の学生と教員も参加して本取組が全学農畜産実習という名称にふさわしい全学的取組という性質を強くしたこと,自主的なユニット選択の支援に加えて,学生の大学生活への適応や対人関係,コミュニケーション能力の確立という導入教育としての意義が明確になったことも挙げられる。