取組の具体的内容・実施体制等

1.取組の目的を達成するための教育課程・教育方法等について

 獣医学のような実践的学問では学生に「触らせる」「考えさせる」ことにより、学生の自主性と積極的な学習態度を導き出すことが教育効果を上げるために重要である。このため、獣医学教育課程の各所で生きた病畜を用いた授業を展開する。

基礎・応用・臨床科目

 大動物の構造・機能および病態に対する理解を深めることを目的として、2~3年次の基礎獣医学(解剖学・生理学・微生物学)、3~4年次の応用獣医学(病理学・伝染病学・公衆衛生学)、および4~6年次の臨床獣医学(内科学・外科学・繁殖学・衛生学)の講義および実習において、生きた大動物病畜を用いた授業を実施する。

総合臨床学

 先の基礎・応用・臨床科目履修後、高学年学生(5~6年生)を対象とした必須科目として、実際の病畜を用いた「総合臨床学」(6単位)および「総合臨床学実習」(3単位)を開講する。

 学生はこの総合臨床学において、それまでに学習した基礎・応用・臨床獣医学の知識を総括するために、開講期の一定期間農業共済組合等に勤務する大動物臨床獣医師(臨床指導教授として教育に参加)とともに家畜生産現場へ出かけ、実際の病畜の診療・生産獣医療の現場を体験する。この学外実習は一種のインターンシップであり、学生は臨床獣医師とともに生産現場を体験することができる。また往診に随行することでコミュニケーション能力の重要性を認識し、実社会で求められる実践的知識技能について自主的に気付くことが可能となる。さらに学外での実践的経験は学内における講義と実習に対するモチベーションを上げるためにも重要な役割を担うことになる。

 その後一部難診断病畜については学内に搬入し、生産現場では時間的・コスト的に実施困難な特殊検査を実施し、最終的には病理解剖検査により病態を把握することを通じて、総合的な臨床獣医学の考え方と技術を体得させる。ここでは生前の身体検査をはじめとする各種検査によって患畜の病態を考察した上で即日病理解剖することにより、病態に対するより深い理解と関心を得ることが期待される。なおこれら一連の検査終了後には症例検討会を開催し自らまとめて症例発表することにより、卒業後に必要な問題解決能力およびプレゼンテーション能力養成が期待される。

2.取組の実現に向けた実施体制(大学としての組織的な取組体制、学外との連携等)について

 本取組ではその中心となる「総合臨床学」「総合臨床学実習」、あるいは基礎・応用・臨床獣医学の授業を開講する臨床獣医学教育に携わる教員を、学内附属施設および事務組織が支援する体制を取る。すなわち病畜の受け入れ・管理、解剖実習のための場所と設備は「附属家畜病院」が提供、牛のBSE検査は「大動物特殊疾病研究センター」が担当、大学の附属農場である「畜産フィールド科学センター」は健康家畜の管理提供で協力する。なお、学内における動物の飼育と病理解剖に際しては、「国立大学法人帯広畜産大学動物実験等に関する規程」に基づき、適正に実施する。

 さらに本取組ではより教育効果を高めるために、生産現場における臨床獣医師が「臨床指導教授」として獣医学教育に参加し、学生の学外実習における実践的指導にあたる。学生が学外で体験した症例の一部については、後日病畜として学内に搬入され、さらに特殊検査等を実施したのちに病理解剖に供される。また臨床指導教授は症例検討会にも学外の専門家として討論に参加し、より実践的な意見の交換が可能となる。