具体的な教育取組

体系的な教育課程の編成

 「食の安全」に関わる問題について国際的かつ学際的視点から、理論と実務の架け橋となり得る人材が求められていることから、多様な問題に応じて幅広い視点からのアプローチが可能となるよう、獣医系と畜産系の教員から成る新しい教育研究体制を導入し、分野間の連携・融合が可能で、社会ニーズに対応した研究内容に展開できるカリキュラムとします。教育課程の特色として次の7点が上げられます。

1.課程制の実質化
前期課程では、専門分野に偏らない共通の講義と実習が一体化した「総合型授業」を導入します。修了要件としての単位は30単位以上とします。後期課程においても関連分野の科目履修が必須であり、常に総合的な視点を維持した専門性の発展を実現します。
2.講義科目
「農場から食卓まで」、動物生産から加工・消費、環境衛生に至る一連の畜産衛生に関する獣医系と畜産系教員からなる横断的・体系的な国際水準のカリキュラムです。
特別演習:学生自ら研究課題を設定し、学生に国内外の共同研究プロジェクトを理解させ、その上で一定の責任と権限を与え研究課題を実施することで、高度な基礎力と深い専門性を養成します。
3.プレゼンテーション演習
研究成果の発表など、国内外における社会のあらゆる場面で必要とされるニーズに対応したプレゼンテーション能力を開発します。
4.インターンシップ演習
本専攻が中核となって連携しているEUとアジア各国あるいは国内の試験研究機関や大学・企業等において実地演習及び共同研究を行うことによって、研究開発能力の養成と国際性の涵養を図ります。
5.履修指導
研究指導教員チーム制(3名)により、各自のキャリアプランに向けた履修モデルを作成し、それぞれのバックグラウンドとビジョンに合わせた履修指導をおこないます。
6.長期履修制度
社会人を対象としたもので、学生が標準修業年限を越えて履修できる制度を設けます。
「食の安全」に関する問題が強い社会性を持つことに鑑み、前期課程では関連する分野を横断的に学び、従来の研究重視型の修士論文作成を廃止し、社会を見据えた課題研究で問題抽出と具体的な解決の方法論について考察します。後期課程では、前期課程での幅広い視点を基盤にして、各専門分野に関わる活発な国際的活動をともなった問題解決型の研究をおこないます。所定の期間内に学位の取得ができるように履修モデルを作成し、研究指導を行います。
7.前期課程
1年次は、畜産衛生に関わる講義実習が一体化した総合型授業を主体とし、2年次は、1年次の知識と問題意識から焦点を絞った課題研究を中心におこないます。
8.後期課程
3年次は、各自の専門とビジョンから作成する履修モデルに沿って、関連する分野の最新情報を横断的に学びつつ、博士論文に向けた研究活動を開始します。4年次は、各自の博士論文に直接関わる国際共同研究あるいは実地体験を目的とするインターンシップ演習が必須であり(場合によっては3年次に実施可)、その成果は教員と共同で企画運営する「畜産衛生に関する帯広ワークショップ」で社会に向けて発信します。5年次は博士論文作成に集中しますが、ワークショップへの参画は必須です。研究指導は、3名の指導教員からなる研究指導教員チーム制によって所定の期間内に学位が取得できるように詳細な研究計画を策定し、履修や研究の進捗状況を予備審査を含めて定期的にチェックして、段階的な指導により学位授与へ導きます。

教員組織の整備

 食の安全確保」という社会要請にこたえるため、獣医学領域と畜産科学領域の融合による畜産衛生分野に特化した専攻は「動物医科学」「食品衛生学」「環境衛生学」の3講座から編成され、以下の7つの教育研究分野からなります。学生に対する研究指導は、指導教員チーム制(主指導教員と2名の副指導教員)により行います。

動物医科学講座(5名)
家畜生産衛生学分野、人畜共通原虫病学分野
食品衛生学講座(8名)
食肉乳衛生学分野、衛生経済学分野、病原微生物学分野
環境衛生学講座(4名)
衛生動物学分野、循環型畜産学分野

 教員の採用に当たっては、国際公募制を導入し優秀な人材の確保に努め、任期制の教員の再任時には厳格な審査を実施し、成果を評価して人事に反映させ、教員の資質向上へのインセンティブとします。また、教員への教育費配分は見積もり査定方式の導入による傾斜配分とし、研究費にあっては学内公募方式によるプロジェクトへの戦略的配分を推進して、競争的環境の醸成による資質の向上を図っています。

組織的な研究・研修(FD)の実施体制等の整備

 大学教育センターの教育改善部において、教育内容及び教育方法等の改善、授業の評価及び改善、教育課程の改善に関することを審議し、FDの企画、調整及び運営を行っています。また、評価委員会が、これらの項目について、点検・評価を定期的に行い、その結果に基づき、必要な改善方策を提案し実施します。

 教材、学習指導法の研究開発を進めるためのFD講演会、FDワークショップを開催するとともに教員の研修を積極的に開催しています。また、学生による授業評価を年2回実施し、これらの結果を報告書として公表するとともに、教員にフィードバックし、授業改善に役立たせるとともに、評価結果を適切に活用し、教育の資質向上に努めています。さらに、講義室等におけるIT設備の導入や、視聴覚資料を使った授業の充実に努めています。

教育研究指導の体制・方法の確立

 前期課程は各自の専門分野に偏らない獣医学と畜産学を横断する共通化したカリキュラムであり、後期課程は各自のキャリアプランに向けた履修モデルを作成します。講義は講義・実習・議論が一体化した「総合型授業」を「農場から食卓まで」の順に沿って2ヶ月間ずつ集中的に学ぶ4セメスター制(年)で進めます。また、チームワーク能力開発のために留学生を含む専門分野の異なる学生のグループを基本として、グループ議論とプレゼンテーション、レポート作成を多く取り入れます。さらに、本学の畜産フィールド科学センターにおける乳肉牛の健康管理の実際や屠畜場での肉処理、乳加工プロセスの視察をおこない、全体の流れを理解できるよう配慮します。後期課程では国際性の条件である英語による講義を取り入れ、さらに欧米の畜産衛生に関する先進的取組に実績のあるミュンヘン大学、ベルン大学やテキサスA&M大学などから講師を招き、特別講義を定期的に行います。海外インターンシップに先立ち、年度始めにe-learningを活用した実践英会話能力を養成します。

 シラバスと各セメスター始めのオリエンテーションにより、あらかじめ各授業における学修目標や目標達成のための授業の方法、学位論文の作成や審査に至るプロセス及び課程の年間計画等を明示します。また、学修の成果に係わる評価及び修了の認定に当たっては、学生に対してそれに係わる成績評価基準があらかじめシラバスに明示されています。

研究指導の適切な取組

 研究指導教員チームが各学生のバックグラウンドやキャリアプランについて半年に1回ヒアリングを行い、学生の目指す方向を明確化すると同時に、指導教員チームの研究プロジェクトのメンバーとして中心的に関われるように全体のプランを構築・修正します。後期課程学生は前期課程の実習にTAとして参画することにより、教育能力を開発します。また社会に開かれた大学院として社会人・留学生の受入を積極的に行い、社会人に対しては、可能な限り弾力的な履修ができるようにカリキュラム編成に配慮すると同時に、長期履修制度を活用します。さらに、外国人留学生に対しては10月入学、英語での授業、優秀な学生への奨学金の給付・授業料の免除により、国際貢献の一層の推進を図ります。

 履修や研究の進捗状況を定期的にチェックするために、年1回の割合で中間報告会を実施し、専攻分野の理解度を確認する仕組みを整備しています。学位審査申請時期は大学院学則に明示されており、早期修了を含め1年間に2回申請できる仕組みになっています。また、インターンシップ演習を取り入れ、学位論文の作成に関連する共同研究活動を単位として認定するなど、学位論文の指導体制に工夫を講じています。

教育研究活動の活性化

 学長裁量による学内競争的研究経費は、若手研究者に重点的に配分しているが、大学院生も分担者として認め、競争的環境の醸成による資質の向上を図っています。また、プレゼンテーション演習や特別実習における研究成果報告やディスカッションにより、学生間の自由で活発な発想による競争的環境を維持します。専攻の学生は、各研究室に分散して配置せず、原虫研センター、大動物特殊疾病センター、そして畜産衛生学専攻の3カ所にそれぞれ情報端末(LAN)を備えた大型の学生室を設置し、共同で研究生活を送ることで閉鎖性を排除し、開放的な雰囲気を維持します。図書館では平成16年度から畜産衛生学関連学術図書を計画的に整備しており、さらに整備を進めます。

運営マネジメント(プロセス管理)体制の構築

 修了者の就職先へは大学教育センター大学院教育部で5年間継続してアンケート・要望の収集を実行し、毎年専攻会議で情報を共有して、修了者の社会的評価を判断し、改善策を講じます。専攻会議において自己点検・評価を促進し、結果を社会に公表し、自らの教育研究水準の一層の向上に努めます。各年度の専攻の事業、方針、海外からの特別講師等は、大学の意志決定機関である学長を座長とする「戦略会議」に諮り、承認を得ます。

学生の経済的支援とキャリアパス形成に関する方策

 本事業によるTA・RAへの採用を行うとともに、21世紀COEプログラム、新興・再興感染症拠点形成プログラムなどの競争的資金の獲得によるTA・RAの採用を目指します。また成績優秀な学生については授業料免除などの経済的支援を行います。社会人学生については長期履修制度を設け、学生のキャリアパス形成のサポートを行います。

自己点検・評価体制の構築

 本取組の企画・実行は畜産衛生学専攻とするが、運営に当たっては、教育学生担当副学長(理事)のもとで全学の教育運営を掌握している「大学教育センター」の大学院教育部(本専攻長が部長を兼務)が戦略会議の意向に沿って全面的に支援します。取組全体の進行状況、効果の評価は年度報告に基づき教育研究評議会がおこなうとともに、海外連携拠点であるミュンヘン大(ドイツ)、ベルン大(スイス)、マヒドン大(タイ)、デラサール大(フィリピン)の外部評価委員からの点検評価を毎年実施し、研究プロジェクト推進に直接貢献できる教育プログラムを構築します。

積極的な情報提供

 年2回開催する「畜産衛生に関する帯広ワークショップ」を活用して、実社会向けの情報発信と議論の場を設けます。また、大学の情報提供の窓口として「広報室」を設置しており、広報室長(理事(総務研究担当))のもと積極的な情報提供を行います。