近年、BSEや鳥インフルエンザの地球規模での流行や頻出する食品偽装事件など、食品を巡る諸問題が続発し、「食の安全確保」は日本のみならず世界レベルの最重要事項のひとつとなっています。これらの問題は感染症と直結していることがその特徴であること、これらは全て動物由来感染症であり、農畜産物を介して人に伝播する可能性が高いこと、アジアやアフリカの開発途上国を中心とした食肉生産のグローバル化が進められていることなどから、畜産衛生分野における食の安全への関心が急速に高まっています。そのために畜産・獣医学領域に新たな複合的学術基盤を構築し、感染症だけではなく地球規模の畜産衛生分野の展開に携わることができる、国際的に卓越した専門家の育成体制を確立することが急務です。特に、畜産衛生学分野における先端的研究の国際的展開および国内外を問わず活躍できる若手研究者・技術者の急激な需要増加として反映されています。そのような背景から、畜産衛生学の『国内』から『国外』そして『未来』に至る時空間的展開を指向した畜産衛生版「アニマル・グローバル・ヘルス」(AGH: Animal Global Health/Hygiene)の学問的擁立は、本学の存在意義の中に必然の流れとして生まれるに至りました。本拠点形成の目的はこの一点にあり、新たな研究領域の開拓と大学院重点化単科大学としての本学の中長期目標とを重ね合わせ、全学一体となった国際教育研究拠点形成を目指します。
 本拠点は、獣医学・畜産科学両領域の有機的な融合による新たな教育研究基盤をベースに、獣医・畜産系大学では唯一の全国共同利用施設である原虫病研究センター、日本に先駆けて畜産衛生における「食の安全」専門機関として創設された大動物特殊疾病研究センター、および21世紀COEプログラムによりその設置が強力に促進された畜産衛生学専門の大学院博士課程畜産衛生学専攻をその足場として据え、「食の安全確保」に貢献しうる、世界に伍する能力を持った専門家養成を実施します。これにより、世界の中でただひとつしか存在しない、畜産衛生版「アニマル・グローバル・ヘルス」に特化した国際的教育研究機関への飛躍的発展を目指します。