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Africa Veterinary Epidemiology Veterinary Communication

獣医疫学/Veterinary Epidemiology

 

カナダ獣医大学訪問記(平成29年7月11日〜20日)

 カナダにある3つの獣医大学を訪問した。現在、カナダには5つの獣医大学が存在し、すべての獣医学部が国際認証を受けている。アメリカ人の学生の受け入れによる収入増や、カナダ人学生がアメリカなどで獣医師として働けるなど、質の維持や向上だけではなく、実質的な恩恵があるという。私はゲルフ大学オンタリオ獣医学部で獣医疫学を学び、博士号を取得したので90年代のカナダにおける獣医教育事情はよく知っていた。しかしながら、2000年にはいってからは、学会やサスカチュワン大学西部獣医学部(WCVC)を岩手連大の業務などで訪問したことがある程度であった。そこで、情報の更新や将来の共同研究発掘のためにも、まだ、訪問したことがなかった3校(カルガリー、モントリオール、プリンスエドワード島)へ脚を運んだ。地域の農業システムに違いがあるように、3つの獣医学部でもユニークな取り組みはあるが、教育の質(カリキュラムや設備など)は非常に高いものであることが確認できた。

 

1.カルガリー大学

成田空港出発後、約9時間飛んで、バンクーバー空港へ到着。さらにバンクーバーで国内線に乗り換え、ロッキー山脈を眼下に1時間半くらいの飛行でアルバータ州カンガリー空港へ到着した。予想していたより大きな空港で、国際空港としての役割も担っているようだ。カウボーイの街と呼ばれているようで、西部開拓時代には馬や牛の売買などでにぎわっていたのだろうか。モントリオール移動中の機内ではカウボーイハットをみあげ(土産)として購入した人々の姿が多くみられた。余談ですが、私が訪問していた時期は、カルガリー・スタンピード(Calgary Stampede)というお祭りの真っ只中だったらしい(後日、他の大学を訪問した時に質問されたので知った)。大学内のホテルに泊まったので、カウボーイのパレードやロデオなどのお祭り気分には、まったく気づかなかった。

アルバータ州にあるカルガリー大学 (University of Calgary)の受け入れ教員は、Professor Cindy Adams(写真1)である.

写真1.アダムズ先生

 

彼女は私がゲルフ大学での博士課程の後半、1993〜94年頃に当大学院に入学してきたので、面識があった。獣医ではなく、社会学を専門とし、教育経験もあったので、私たちとは(よい意味で)異質な存在であった。Grounded theoryという言葉をはじめて聞いたのは、彼女のセミナーであった。アダムズ教授の専門は、臨床コミュニケーションである(写真2:学生実習室には天井にカメラが設置されている)。


写真2.臨床コミュニケーション実習室

 

わが国の獣医教育にも数年前から導入されたOSCE(オスキー)分野の教育を担当しながら、獣医師と家畜やペットの所有者との人間関係を探っている。

2008年9月にカルガリー大学の新学部として開校し、カナダでは一番若い大学である。BSEのカナダでの最初のケースが、アルバータ州で見つかったことも引き金になったらしいが、革新的なアイデアにもとづき設立され、教員も全国から集められたという。しかしながら、入学できるのは、アルバータ州出身者だけである。毎年30名しか学生を受け入れていない。設立当時は、アルバータ州の貴重な資源である石油の値段も高く、アルバート州は潤っていたこともあるが、ひとりあたり3万ドル(約270万円)程度つかい、国内だけではなく、海外にも学生を派遣し、総合的な学習体験をさせているという。Community-based learningがモットー!大学家畜病院は、まだ、新品のように、きれいに整理整頓されていた(写真3は、病院の廊下に置かれていた馬の実物大の模型)。

写真3.カルガリー大学獣医学部病院

 

2.モントリオール大学

ケベック州にあるモントリオール大学の農学部と獣医学部(カナダのフランス語圏で唯一)は、市内より車で1時間くらい離れた北東部の郊外に位置する(写真4)。


写真4.モントリオール大学獣医大学正面玄関

 

学生数は1学年80〜90くらい。受け入れ教員は、Prof. Emile Bouchard(副学部長)であった。1985年に、カリフォルニア大学デイビス校で一緒に疫学を勉強した間柄である。

Simon Dufour, Denise Bélanger, Patrick Leightonの3人の疫学者に会うことができた。Denise(羊を中心に家畜の感染症の疫学)とPatrick(生態と感染症)とは昔からの知り合いだが、Dufour先生と会うのは初めてだと思っていた。しかしながら、数年前、サチュカチュワン大学WCVCで開催されたカナダ獣医疫学学会で会っていたという。乳房炎の治療に関するスマートフォンアプリを開発したということで、実物を見せていただいた。現在、現場で治療後の予後も調査中。柔道2段の若手で将来が有望されている。かれらには、来年、札幌で開催される世界牛病学会に来るよう勧誘した。Bouchard先生がこの学会の会長でもあるので、当大学からの多くの参加者が期待される。

フランス人学生(博士課程)に案内していただき、家畜病院(小動物、牛と馬の治療は別々の場所で行われるが診断検査は1箇所に集約)と州政府との共同で建設された疾病サーベイランス棟を見学した。牛の水バス療法(へたり牛の治療、3日くらいで治るらしい、小さなプールー簡易、牛の大きさと同じーに牛をいれて浮力で脚に負担をかけず治癒を助ける方法)を始めてみて感激した。

3.プリンスエドワード島(PEI)大学

赤毛のアンで有名な島にある獣医大学である。獣医学部のほか、教育、工学、看護、栄養学部などもある総合大学で、約5千人の学生が学んでいる。実践的な人づくりを目指している大学なのだろうか。現在、この島には、約200戸の酪農家と(戸数は聞き忘れたが)肉牛農家がいて、日本と同じで農家数は激減しているが、生産量はほぼ横ばい状態ということであった。ジャガイモも産物で、景色や飛行場のサイズも十勝によく似ていた。

受け入れ教員は、Prof. John VanLeeuwenといい、大動物診療と獣医疫学の専門家である。彼とはゲルフ大学で同じころ疫学を学んだ間柄である。大学は1980年代の終わりころオープンし、カナダでは4番目に開校された獣医大学である(カルガリーが5番目)。街のほぼ中心部に位置し、空港からも10分くらいの距離である(写真5)。


写真5.プリンスエドワード島大学獣医学部

 

ここの獣医大学には毎年60〜70名の学生が入学する。もう少し学生数を増やしても設備に不足はないという。アメリカ人学生も受け入れているし、卒後、カナダ人でもアメリカで獣医師として働いている学生も多数いるという。

大学内の施設見学後、酪農家を訪問した(写真6のピックアップ車が診療用の車両で、これに乗り、写真7の酪農家へ)。


写真6.大動物診療車


写真7.ある酪農家

 

ドーム型というかビニールハウス型というか、私には初めてのタイプの酪農施設であった。写真にも写っている20歳代の娘さんが畜産に興味があるとかで、父親と一緒に作業を行っていた。昼間は自由に放牧地に出られるような飼育形態からなのか、運動量も十分で、飛節など脚がきれいな牛が多く、蹄病や破行などの問題はほとんどないという。学生の実習に協力してくれる酪農家と拒否するところもあり、日本と同じような問題をかかえている。開業獣医師より料金を安くしたり、検査を無料で行ったりと、酪農家の協力が得られるよう努力しているということであった。

一方、国際協力においてもProf. VanLeeuwenは多くの活動を行っている。たとえば、国境なき獣医師というカナダのNGOの代表として、獣医師や獣医学生などを途上国へ派遣している。また、地元(PEI)のNGO (farmer helping farmer)と協力し、ケニアでは酪農をテーマに調査研究プロジェクトにも関与している。ケニアから10人くらい学生などを受け入れし、短期・長期訓練(大学院、修士、博士レベル)も行っている。今回は、栄養学部の先生方と協力しているプロジェクト(酪農家の家族の栄養レベル調査)のケニア人カウンターパートとの会合にも参加させていただいた。

One Health EcoHealth 学会(2016年12月3日から7日)

オーストラリア、ビクトリア州メルボルン市の国際会議場で開催されました。One Health とEcoHealthという2つの国際学会が合同で開催したので、通常の獣医の学会とは異なる発表内容でした。社会学的、文化人類学的な内容ですので、表などを使ったデータのまとめもなく、たんたんと事実を伝える、思考経路を説明する、歴史的変遷を描くなど。。新鮮な体験でした。

メルボルン国際会議場


会議場前のシーフードレストラン

ブータンからの参加者と柳井先生

 

第6回海外悪性伝染病講習会を開催

 10月21日(金)帯広畜産大学講堂において、十勝農業協同組合連合会および十勝管内家畜自衛防疫推進協議会との共催で、『十勝における牛ウイルス性下痢症(BVD)コントロール』をテーマに第6回海外悪性伝染病講習会を開催しました。
最初に、井上昇理事から開催の挨拶があり、その後、アン・リンドバーグ氏(スウェーデン国立獣医研究所)から「スウェーデンにおけるBVD清浄化−過去、現在、そして未来−」と題し、基調講演をしていただきました。


 休憩後、信本聖子氏(十勝家畜保健衛生所病性鑑定課長)が十勝におけるBVDコントロールの現状について話題提供されました。そして、立花智氏(十勝家 畜保健衛生所長)を座長として「十勝におけるBVDの現状と清浄化に向けた課題」と題して全体討論が行われました。討論では、スウェーデンでの清浄化方法 に関する質問も多くだされました。

 
 この講習会には、家畜保健衛生所の職員、十勝管内市町村の家畜防疫担当者、生産者、民間企業の職員の他、学生や教員など約120名が参加し、海外で実施 されている牛ウイルス性下痢症の清浄化方法とその意義を学び、十勝でも関係者が力を合わせて取り組むことの重要性を再認識し、講習会を終了しました。


基調講演をするアン・リンドバーグ氏  

全体討論の様子 

 

アイルランドとノルウェー訪問(平成28年3月)

平成26年3月6日より14日まで、アイルランド国ダブリン市、英国・北アイルランド・ベルファスト市、そして、ノルウェーのオスロ市を訪ねた。具体的な訪問先は、ダブリン大学獣医学部、アイルランド政府獣医局およびノルウェー獣医研究所などで、獣医教育、家畜や魚類の衛生、野生動物サーベイランス、畜産関連データベースについて専門家から情報を収集し、意見交換した。アイルランドではAnimal Health Ireland (AHI)のDr. Grahamに案内をお願いした。実は昨年、彼は帯広に招聘され、牛のウイルス性下痢症のアイルランドにおけるコントロール活動について講演をしている(http://www.obihiro.ac.jp/topic/2015/kaigaiakusei_27.html)。一方、ノルウェーでは、Risk Analysisに掲載されたBSEのリスク評価に関する論文の共著者である研究者(国立獣医研究所勤務)を訪問し、今後の研究協力について話したり、同僚の方々からノルウェーにおいて重要な疫学研究課題に関する情報を入手した。ノルウェーではほとんどの家畜の感染症が撲滅されているので、魚類の感染症に特化した研究が行われているようだ。


アイルランド放牧酪農

 


生産者とAHIのGraham獣医師

 


ノルウェー王立農場

 


ノルウェーの羊

 

平成27年7月13日(月)獣医臨床セミナー報告

平成27年7月13日(月)午前8時45分より3番教室で獣医臨床セミナーを開催しました。講師は、米国バージニア州で開業するマージ・ルイター先生でした。ルイター先生は30年間にわたって、犬や猫だけでなく、馬、牛、山羊などの家畜の訪問診療を合衆国ペンシルベニア州やバージニア州などで実践してきました。

アメリカにおけるホリステック獣医診療について、鍼療法、カイロプラクティス、ホメオパシー、また、薬草、ハーブや漢方薬を使った4つの治療方法に焦点をあて、彼女自身の経験も交えてお話していただきました。ホリステック診療は、補助的な診療ではありますが、治療薬がない肝臓の疾患や、末期癌患畜のホスピスなど、動物が寿命を全うするために獣医師が取り組める最後の方法です。もっとも感銘した点は、ホリステック診療とは、病気を治すのではなく、病気になった動物を少しでも快適にし、自らの抵抗力や免疫力を向上させる治療方法だということでした。

学内では、獣医学科の学生や留学生(大学院)、また、学外からは開業の先生(小動物)やノーサイの獣医師、オーガニック農場を経営する夫妻など、多彩な顔ぶれが参加してくださいました。総勢17名がこの講義を拝聴し、自らがかかえている牛の繁殖や臨床現場での問題について、活発に意見交換することができました。獣医学科5年生の方に逐次通訳をやっていただきましたので、英語に自信がない方でもルイター先生のお話が理解できたと思います。

立って話をしているのが、講師のルイター先生で、右側にいるのが、通訳の学生
(山下さん)です。
また、左側にいる(赤い洋服を着た)女の子は、ルイター先生のお嬢さんです。

 

2014.11.18 日豪EPAと家畜防疫 報告記はこちら


1.http://www.obihiro.ac.jp/~fcasa/4th.koushukaihoukoku.pdf

2.http://www.obihiro.ac.jp/topic/2014/kaigaiaku_26.html日豪EPAと家畜防疫

平成26年6月30日(月)獣医疫学セミナー報告

平成26年6月30日(月)午後3時より5時半まで、25番教室で獣医疫学・野生動物疾病セミナーを開催しました。講師は、OIEワークショップの講師として来日されていたテッド・レイトン教授(カナダ・サチュカチュワン大学)、パトリック・レイトン講師(カナダ・モントリオール大学)とドローレス・ビデン先生(スウェーデン国立獣医研究所)の3名でした。かれらは野生動物疾病の専門家ですが、3名がそれぞれの専門性を活かし、世界を舞台に活躍しています。本日の講義のテーマは、「野生動物の健康と病気をOne Healthという概念から再考する」でした。レイトン教授は、21世紀に入り、政治や経済も疾病の発生に大きく関係したのでOne Healthの定義は拡大されたということ、レイトン講師は、温暖化によりダニ媒介病の伝播地域が拡大されるという予測結果から人々への教育の重要性を、そして、ビデン先生は野生動物疾病の早期発見に病理診断が重要な役割を果たしているが、これは関係者すべての協力なしでは成しえない点を強調されていました。すべて英語での講演でしたが、本学の学部生や大学院生だけでなく、道内の野生動物疾病を対象に研究している方々の参加もあり、約40名が特別講義を拝聴し、活発に意見交換することができました。

英文要旨を掲載します。


Wildlife and One Health in the 21st Century


Ted Leighton, Executive Director, Canadian Wildlife Health Cooperative, Headquarters Office, Western College of Veterinary Medicine, University of Saskatchewan, Canada

Fifty years ago, health and disease in wild animals received very little scientific attention. In 2014, wildlife health issues are high on the list of prominent global issues in public health, food security and safety, international trade in animals and animal products and environmental conservation. This change in status is due to the rising tide of emerging infectious diseases in the past 50 years, for which wild animal pathogens are a principal source.  The scientific field of disease ecology developed starting in the late 1970s to understand disease dynamics largely in wild animal populations. It provided powerful new tools for understanding health as an ecological outcome and provided the scientific basis for the “One Health” concept.  The phrase “One Health” in its current context was first used in the Manhattan Principles on One World One Health, a manifesto arising from a scientific conference on wildlife conservation and health, “Building interdisciplinary bridges to health in a globalized world, “ organized by the Wildlife Conservation Society in New York City in 2004.  This 21st Century concept of “One Health” is a new attempt to understand the complex determinants of human health in this world of 7 billion people.  It proposes that human health can only be achieved and sustained if animal health and environmental health are achieved and sustained at the same time. It proposes that health is dependent on complex ecological processes that cannot be isolated and managed separately. Health management requires knowledge from both the natural and social sciences, and participation by all sectors and levels of society. Most fundamentally, the “One Health” concept proposes that environmental conditions and ecological processes are the most important determinants of human health in the 21st Century, and thus that they must be made the central focus of health research, management policies and actions.

 

Epidemiology of wildlife zoonoses under climate change: the importance of ecology

Patrick Leighton, University of Montréal, Canada
As climate change impacts become more widely recognized globally, an increasingly urgent question from wildlife managers and public health officials is “how will climate change influence disease risk for animals and people”? For wildlife zoonoses, where transmission and maintenance of disease may be particularly influenced by environmental change, answering this question requires a detailed understanding of the often complex ecology of such systems in order to identify and predict direct and indirect impacts of climate change. This seminar will explore the challenges of understanding and modelling climate impacts on zoonotic disease in two contexts that are particularly sensitive to climate change: vector-borne disease emergence (Lyme disease) and zoonoses in northern ecosystems (Arctic rabies).

 

Detecting and discovering diseases in wildlife: the role of pathology

Dolores Gavier-Widén, National Veterinary Institute (SVA), Uppsala, Sweden.

Wildlife disease surveillance is a very extensive field involving different diagnostic disciplines, epidemiology and communication activities. Networking across disciplines and national boundaries is of great benefit in surveillance programs. As a whole, more than 18,000 wild animals are investigated by general (“passive”) surveillance and more than 50,000 by targeted (“active”) surveillance annually in Europe.

Pathology is a primary component in general wildlife disease surveillance. Rudolph Virchow (1821-1902), a founding father of pathology, made seminal advancements in the understanding of infectious diseases based on observations at abattoirs and of tissue changes at the cellular level; he was active in the implementation of meat inspection. Today, despite the technical advances, the fundamental tools of pathology are still post mortem examination and histopathology, and these are the starting point for many diagnostic investigations.  Additionally, pathology is essential in the early and rapid identification of emerging infections and/or changes in disease patterns.

Importantly, pathology also informs about the significance, in terms of disease, of the presence of infectious agents or particular strains of agents demonstrated by laboratory tests. Classical descriptive pathology is today more refined by new techniques but cannot be replaced by other disciplines and will continue to be a cornerstone in the detection and characterization of emerging diseases.

Wild animals play an increasingly important role in emerging infectious diseases, in particular zoonoses. This trend will possibly continue in the future.  Good knowledge and rapid identification of infections occurring in wildlife are essential for the design and implementation of preventing, control and mitigating measures to protect the health of humans and animals.  

 

 

平成24年11月5日(月)獣医疫学セミナー報告

平成24年11月5日(月)午後4時半より25番教室で獣医疫学セミナーを開催しました。

講師は、帯広畜産大学基金国際交流に対する支援事業助成金により招聘した、スイス国ベルン大学獣医学部カタリナ・スターク先生でした。彼女は、スイス連邦獣医局のモニタリング部門長を務めた後、ロンドン大学獣医学部の公衆衛生部門の教授として5年勤務していました。

家庭の事情により2年前にベルン市に戻ってきたそうです。また、7年前に、約1ヶ月、客員教授として本学に勤務していたことがあります。

本日の講義のテーマは、「抗生物質耐性菌のリスクを減らすためのOne Healthアプローチ」でした。欧州の事例によれば、家畜への抗生物質を使う量は国により異なりますが、耐性菌の出現割合は人と動物で同じように右上がりであるようです。また、抗生物質使用間隔を長くすると、耐性菌の出現が減少すると報告されているとのことでした。つまり、耐性菌によるリスクを減少させるためには、人と動物の医療関係者から家畜生産者まで、すべての関係者が環境汚染も考慮したリスク管理方法について議論することが焦眉の課題であるとのことでした。法的な処置も重要ですが、関係者が知識を増やし、日々、正しい管理方法を実践することで問題解決へとつなげていくことが望まれています。JICA研修員や大学院生など外国人関係者の参加者が中心でしたが、酪農学園大学からの参加もあり、総勢31名が特別講義を拝聴し、活発に意見交換することができました。

 


 

ニュージーランド国マッセイー大学疫学研究センターのペトラ・ミュルナー先生が来帯されますので、獣医疫学セミナーを下記のとおり開催します。
みなさまのご来場をお待ちしています。


 2012年2月7日(火)16時半〜 帯広畜産大学・原虫病研究センター・PKホール

中止になりました。


"Source attribution of campylobacteriosis - combining epidemiology
and population genetics"
The capacity to attribute cases of human disease to a source responsible for illness is critical for the identification and prioritization of interventions for campylobacteriosis and other zoonotic diseases. Assessing the origin of human infections is therefore a major global public health issue and classical epidemiological approaches such as case-control studies have been conducted to fulfil this purpose. For some diseases these methods can give ambiguous or conflicting results and often fail to provide risk managers with sufficient information to evaluate and implement effective food safety measures to lower the burden of human disease. This presentation will show how rather than apply a single approach to food source attribution in New Zealand we have used different techniques combining epidemiology and population genetics. The findings from this research were used to inform policy making to control the disease in the poultry production chain. Since the introduction of a range of control measures a reduction in human cases by more than 50% has been observed.

 

2月8日(水)16時〜 北海道大学大学院獣医学研究科・講堂
"How can molecular tools contribute to our understanding of  BVDV?"
The availability of molecular tools has greatly advanced our understanding infectious diseases. Correctly applied and interpreted, molecular approaches offer unique opportunities to advance the field of epidemiology, from addressing a herd health problem to understanding the global spread of a disease. For infectious diseases, these measures can provide insight that is not available with traditional culture methods or species-level identification. However, despite their increasing availability, molecular methods are often not completely understood, and in consequence inefficiently applied.
This seminar provides participants with an introduction to the field and explores how molecular tools can support our understanding of BVDV in Japan and guide the development of disease control programme.
連絡先:帯広畜産大学 門平(かどひら) kadohira@obihiro.ac.jp 電話0155-49-5617

告知PDF


 

Evaluating post farm gate surveillance for foot-and-mouth disease
using scenario tree methodology

Naomi Cogger, PhD
EpiCenter, Massey University, New Zealand

1月27日木曜日、午後4時半より1時間、コッガー先生のセミナーを25番教室にて開催しました。コガー先生のこれまでの研究内容に関する簡単な紹介の後、シナリオツリーモデルを使った口蹄疫サーベイランス方法についてお話を伺いました。オーストラリアの事例によると、大規模な農場と比べて飼育頭数の少ない小規模の農家は、バイオセキュリテーのレベルも低いとのこと。よって、口蹄疫など海外の伝染病の広まりの可能性を監視するために、小規模生産者に注目したようです。家畜が売られ農場を出ると、次に集積する場所として、家畜市場とと畜場があります。農家の人々が家畜の異常を政府職員に連絡する、しないという理由や地域の家畜市場やと畜場にて、どのくらいの割合で政府職員が家畜の異常を見つけることができるか、診断テストなどとは異なるテスト手法を開発しました。そして、これらのテストの敏感度を推定し、モデル構築に利用したそうです。シナリオツリーモデルにこれらの結果を取り込み、口蹄疫の発生率の違いにより、どの程度、病気が発見できるのかを確率として推定しました。Preventive Veterinary Medicineに論文が掲載される予定だそうです。獣医疫学を履修する学部生など約50名が参加し、コッガー先生が学生に質問(国内における口蹄疫発生に関するリスクの高い動物や地域などについて)するなど、双方向の意見交換もできました。門平が逐次通訳を務めました。

 

Pigs are considered high risk for the introduction and spread of foot and mouth disease (FMD) in Australia. One of the most likely pathways of introduction of FMD into Australia would be through the illegal importation of FMD-contaminated meat, which is then fed to feral or domestic pigs. Locations where animals from different origins are commingled, such as livestock markets and abattoirs, pose a risk for disease spread. Early detection of exotic diseases at these locations is crucial in limiting the spread of an outbreak. The aims of this study were to evaluate the likelihood of exotic disease detection with current disease surveillance activities for pigs at saleyards and abattoirs in eastern Australia, and make recommendations for improving surveillance. Sensitivity (Se) of the current post-farm-gate surveillance for detection of exotic diseases was estimated using the scenario tree modelling methodology (Martin et al., 2007). Four surveillance system components  were identified: (i) domestic saleyard, (ii) export saleyard, (iii) domestic abattoir, and (iv) export abattoir. Pig farms were classified according to herd size (Small vs. Large) and subsequently into two risk categories depending on the probability of swill feeding (Swill feeding vs. Not swill feeding). A scenario tree representing the pathways by which infected animals could be detected was developed and the Se of detection in each surveillance system component was estimated. Industry statistics, information on previous exotic disease outbreaks, and interviews with pig producers were used to estimate herd category proportions and the relative risk of swill feeding. Quantitative estimates for probabilities of detection were sourced from State legislation and policies, stakeholder consultation and observational studies at saleyards and abattoirs. Results of a FMD case study showed a Se of detection at a representative location for each surveillance system component during a 2-week period of 0.19 at domestic saleyards, 0.40 at export saleyards, 0.32 at domestic abattoirs and, 0.53 at export abattoirs. This output assumed the country was infected with herd and unit design prevalences of 1% and 30%, respectively. Improving disease awareness of saleyard and abattoir stockmen, increasing the presence of inspectors at these venues and identifying those herds posing a higher risk for FMD introduction, could improve the capacity of the country for early detection of emerging animal diseases.

Pigs are considered high risk for the introduction and spread of foot and mouth disease (FMD) in Australia. One of the most likely pathways of introduction of FMD into Australia would be through the illegal importation of FMD-contaminated meat, which is then fed to feral or domestic pigs. Locations where animals from different origins are commingled, such as livestock markets and abattoirs, pose a risk for disease spread. Early detection of exotic diseases at these locations is crucial in limiting the spread of an outbreak. The aims of this study were to evaluate the likelihood of exotic disease detection with current disease surveillance activities for pigs at saleyards and abattoirs in eastern Australia, and make recommendations for improving surveillance.

25番教室にて講義をするコッガー先生

 

開催案内

シナリオツリー手法を使った口蹄疫サーベイランスの評価
シナリオツリー手法を使った
口蹄疫サーベイランスの評価

2011/1/27(木)帯広畜産大学25番教室

韓国での招待講演

 韓国のGyeonggi(京畿)州(ソウル市をすっぽり囲んでいる地域)の獣医畜産局に招待されて、平成21年12月15日より18日まで韓国を訪問した。International symposium for meat safetyと題した国際シンポジウムの講師として招へいされたからである。シンポジウムは、京畿州政府職員研修センターの大ホールにおいて16日の午後1時半より5時まで開催された。私の講演のほかに、ソウル大学獣医学部の教授2名とBioRad社のセグイ氏の講演もあった。参加者名簿を見ていないので正確な数字はわからないが、約100名の参加者はほぼ獣医畜産局の職員で、一般の方々の参加はなかったと思う。講演会開始前には州知事、韓国衛生課長や獣医師会長などとの記念撮影をおこなった(写真1)。この時までは、消費者団体の代表者である3名の女性も会場におられたので、写真に映っている。
 私はThe role of BSE risk communication in BSE analysis in Japanと題して30分間お話させていただいた。(写真2)昨年、ソウルではアメリカからの牛肉輸入解禁に関して暴動が起こったが、そのことも含めて、リスクコミュニケーションの重要性に関する話題は時宜を得た適切な内容であったと好評であった。
 京畿州獣医局(日本の家畜保健所と食肉検査所が一緒になったような仕組み)やソウル大学獣医学部を訪問し、関係者と面談し施設を見学させていただいた。実は、私が数年大学院生として過ごしたオンタリオ獣医学部(ゲルフ大)から派遣されたショーフィールド先生という方が、ソウル大学獣医学部教育に大いに貢献したという昔の記憶がよみがえった。ソウル大学獣医学部の入り口に、彼の写真とその紹介が展示されていたからである。
 韓国への出張は初めてであったが、日本人の旅行者が多いことは知っていたし、本学の先生方も韓国の研究者らと共同でシンポジウムを開催したりと、私のまわりでは交流が盛んである。私自身、韓国の歴史にも興味があったし、キムチも大好きなので、有意義な訪問となった。一方、自分の専門分野である畜産や家畜疾病に関しては、聞くこと、すべてが新鮮であった。日本に隣接する韓国。こんなに近いのに、これまで、あまり注意を払うことがなかったことを深く反省した。


写真1

写真2

 

Joanna McKenzie先生のセミナー報告

平成21年10月23日(金)午前9時より獣医疫学セミナーを32番教室で開催しました。講演者はニュージーランド国マッセイ大学獣医学部・疫学研究センター非常勤講師のJoanna McKenzie先生でした。彼女は、疫学分野において野生動物由来の人獣感染症のリスク評価などを行ってきた研究者で、「動物由来感染症のリスク分析手法に基づくリスク管理の在り方に関する研究」の分担者である門平と共同研究を行うために招聘されました(10月19日から28日まで本学に滞在)。セミナーは、本日の講義のテーマであるOne World- One Healthの紹介から始まり、新興・再興疾病であるニパウイルスなどの事例を使って、獣医師と医師など関係するすべての専門家が協力し合える体制づくりの大切さについてお話してくださいました。また、資金がなくても実施可能なサーベイランスの実例も紹介しながら、獣医疫学の基礎である疾病を見つけ出し、きちんと測ることの重要性も再認識してくださいました。学部生、大学院生や教員など総勢55名が特別講義を拝聴しました。留学生を中心に多くの質問が出され、盛況なセミナーとなりました。

32番教室でのセミナーの様子

 

セミナー開催のお知らせ

野生動物における疾病サーベイランスの重要性

野生動物の疾病サーベイランスを研究しているマッケンジー先生をお招きし、野生動物由来の疾病が、 どのように人や家畜の疾病の発生に関連しているのか、ニュージーランドで実施されたサーベイランス結果を報告していただくだけではなく、今後の野生動物疾病コントロール戦略はどうあるべきかについてもお話を伺います。

ドブソン先生の講演会

平成21年8月31日、午後1時より5時まで、帯広畜産大学大講義室にて十勝獣医師会産業動物講習会が開催された。講師は、リバプール大学のドブソン先生夫妻である。私は司会進行という役割を仰せつかったので、個人的に彼らのお話を伺うことができた。彼女は数年前にも来日し、16日間の滞在中に14講演を実施したという“つわもの”で、日本にもファンが多い。獣医ではないが生化学者として「繁殖とストレス」をテーマに、生殖ホルモンの研究に取り組んでいる。

 

BSE のリスク評価とサーベイランスの効果的手法の研究: 北海道の場合
(平成18年度食品健康影響評価技術研究課題 No.0603)

Mark Stevenson先生のセミナー報告

平成21年1月23日(金)午前10時より獣医疫学セミナーを23番教室で開催しました。講演者はニュージーランド国マッセイ大学獣医学部・疫学研究センターのMark Stevenson先生でした。彼は、英国のBSEやFMD発生に関する疫学研究歴が豊富な研究者(獣医師)で、「北海道におけるBSEリスク評価と効果的サーベイランス方法に関する研究」に関する研究活動を門平と共同で行うために招聘されました(1月19日から26日まで本学に滞在)。セミナーは、マッセイ大学の簡単な紹介から始まり、本日の講義のテーマである英国のBSE発生に関する地理情報学分析手法をお盆とカップを使い明瞭に説明され、その手法の北海道への応用結果を示していただきました。また、BsurEモデルというBSE有病率の推定やOIEが奨励しているサーベイランス成果を数値で表すことができる方法についても、詳しく解説してくださいました。大切なことは、政治家や一般消費者がわかるように、図や点数で分析結果を表すことであると強調されていたことが記憶に残っています。大学院生や教員など総勢28名が特別講義を拝聴しました。留学生を中心に多くの質問が出され、盛況なセミナーとなりました。

 


写真1:23番教室でのセミナーの様子


写真2:英国の例を説明するStevenson先生

当日の資料 Word(32KB)

獣医疫学セミナー開催のお知らせ

ニュージーランド国マッセィー大学のスチーブンソン先生が帯広を訪問されます。そこで、BSEに関する研究成果について講演していただくことになりました。彼は、英国のBSE発生を、地理情報学システムを使い分析し、論文と著書を出版しています。また、一昨年より、門平研究室と共同研究を始め、北海道のBSE発生に関する疫学分析にも取り組んでいます。このセミナーでは、ヨーロッパのBSEリスク評価やサーベイランス結果を、日本でどのように応用できるのか、具体的な共同研究課題についてお話をしていただきます。

BSE:ヨーロッパの経験を日本で活かす

BSE:ヨーロッパの経験を日本で活かす
BSE: lessons learned from Europe and implications for Japan

講師: マーク スチーブンソン(マッセイー大学・疫学研究センター・准教授)
Lecturer: Dr. Mark Stevenson

日 時:2009年1月23日(金)10時〜12時

場 所:帯広畜産大学総合研究棟 1号棟 23番教室


 

ワークショップ 『はじめの一歩』
〜BSEサーベイランスとチーム変革〜

<目 的>
人間関係トレーニングとサーベイランスの基礎について学び、BSE対策に関する諸問題についてワークショップ形式で自由に意見交換し、BSE対策の改善に活かします。

<内 容>
まず、共にひとつの仕事に取り組む新たなチームを結成します。そのチームでの体験を通じて、自分や他者のあり方を見つめ、課題達成に向けてお互いの影響関係に気づきながら、効果的に他者に働きかける関わり方を学びます。
続いて,その学びを活かしながら,集まったメンバーでBSEサーベイランスについて考えます。日本ではBSE全頭検査が実施されていますが,その是非や課題,今後の方向性などについて自由に話し合うワークショップを実施します。あわせてBSEサーベイランスに関するプチ講習会も開催します(参照:http://www.obihiro.ac.jp/~epi-africa/ep_0801024.html)。

<成果の活用方法>
参加者のアイデアなどワークショップで得られた成果は、食品安全委員会へ研究成果の一部として提出する予定です。また参加者へも文書でフィードバックします。今後は,同様のワークショップを継続開催し、BSEを例題 に「食の安全・安心」に関連するリスク評価とサーベイランスについて関係者らとの学びの場を育むことをめざします。

 


日 時:12月13日(土) 午前10時〜午後5時
場 所:デスカット東京日本ビル(JR東京駅日本橋口より徒歩3分)
     東京都千代田区大手町2-6-2日本ビル1F(TEL03-6202-9150)
参加費:無料
募集人数:20〜30人
募集対象:BSE対策とくにサーベイランスに関して意見,提言,
      興味のある都道府県職員,NOSAI職員,個人等の獣医職,畜産関係職。
内 容:午前 人間関係トレーニング  (担当 水野節子)
午後 BSEサーベイランスに関するワークショップ(担当 門平睦代・堀北哲也)
主 催:食品健康影響評価技術研究プロジェクト(No.0603)
共 催:NDK(全国畜産支援研究会)
問い合わせ:門平睦代 Tel:0155-49-5617 E-mail : kadohira@obihiro.ac.jp
        堀北哲也 Tel:090-4421-6579 E-mail : horikita@olive.ocn.ne.jp


北海道におけるBSEの現状と将来―サーベイランスに焦点をあてー獣医疫学セミナーの報告を掲載しました。

 

獣医疫学セミナー 杉浦 勝明 氏 「日本におけるBSE発生の疫学モデル」の報告

 

第3回獣医地理情報学国際会議(GISVet)に参加して



獣医疫学セミナーの報告
農場のバイオセキュリティー強化にとって有効な牛ウィルス性下痢症のコントロール

 

外部機関との関係と生産性に関する研究ー川西農協の場合ー平成19年度成果報告書作成しました。

クイーンズランド大学での疫学研修
     

学会発表

 

眞鍋式削蹄現場の見学

 

獣医疫学セミナーの報告
 (タイ・ラオス・カンボジア・ベトナムで発生する食中毒の疫学研究

 

北海道足寄町の放牧酪農に関する平成18年度成果報告書作成しました。

 

国際獣医疫学学会参加報告記

 

獣医疫学セミナーのご案内
定量的リスク評価:スイスにおける家畜の輸入と 疾病サーベイランス事例の紹介

 

獣医疫学セミナーのご案内
乳牛のアカバネ病に関する獣医経済学的研究とその流行予測

 

COEセミナーのお知らせ
 スイスの乳牛におけるNEOSPORA CANINUM感染症の疫学とその経済的損失

 

獣医疫学を使った家畜衛生・飼養管理改善方法の研究

 

A comparison of different models for assessing variations in the sero−prevalence of infectious bovine rhinotracheitis by farm, area and district in Kenya


Variations in the prevalence of antibody to brucella infection in cattle by farm, area and district in Kenya

 

Assessing infections at multiple levels of aggregation

 

門平がかかわった疫学普及関連出版物リスト

 

獣医疫学会 入会のご案内

 

 

過去の報告

タイに拠点をおくJICAプロジェクト「タイ及び周辺国における家畜疾病防除計画」 チームリーダーの佐々木正雄氏が平成17年8月1日帯広畜産大学を訪問されました。
そして、その午後には「鳥インフルエンザとJICAの活動」と題したセミナーの講師もつとめていただきました。セミナーには、教職員・大学院生など34名が参加し活発な意見交換ができました。

 

 

 
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