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Africa Veterinary Epidemiology Veterinary Communication

獣医コミュニケーション/Veterinary Communication

 

ワークショップに関する講習会の報告


    

平成18年度十勝青年獣医師集談会講習会が12月1日(金)十勝NOSAI本所2階会議室で開催されました。講師として千葉県農業共済連合会の堀北氏と私(門平)が招かれ、「参加型手法って?ワークショップって?」と題した講習会を実施しました。プログラムは以下のとおりです。

このような試みに興味のある方、どうぞ、門平まで連絡ください。一緒にやってみましょう。

 

プログラム

「なぜこの講習会を開くのか」(主催者)

「主体性を育むとは」について考えるワークショップ(堀北、門平)

1. このワークショップの概要・目的の説明
2. アイスブレーキング:ワイワイ自己紹介
3. 一人で思い出す:自分が主体的に動いたときはどんなこと,どんなとき
4. 六人一組でまとめる:KJ法にて「ヒトはどういうときに主体的になれるか」を整理
5. 六人一組で考える:自分の現場にいる「あの動かない生産者」はなぜ動かない?
6. 六人一組で創りだす:動かない生産者と獣医師のロールプレイを設定
7. 六人一組で演じる:ロールプレイを演じる。見る人はフィードバックシートに感想を記録
8. 皆で振り返る:フィードバックシートを発表しつつ,何を感じ何を考えたかを振り返る
9. アクションプランを考える:自分の現場にいる「あの動かない生産者」にどうアプローチするかを考える
10. 宿題(3カ月):アクションプランを実践し,その結果を持ち寄り検討する       

千葉県の事例紹介(堀北)    
全体を振り返っての感想(参加者)    
まとめ(門平)         

 

本学の学生2名も参加させていただきましたので、彼らの感想文を掲載します。    

 

学生1


今回の講習会では、「主体性を育む」をテーマにワークショップが行われ、私もこれに参加した。以下に、このワークショップを項目1つずつ、振り返っていこうと思う。
まず、始めにワークショップの目的の説明を受けた後、ワイワイ自己紹介があった。この自己紹介は、歩き回って知らない人を見つけては自己紹介しまくる、というものだった。私はとても人見知りをしがちなので苦手分野なことだったが、頑張って1人の人を見つけては話しかけた。私とっては全員が知らない人達だし、みんな大人だったので、とても緊張した。しかし、このことで少し緊張が解けて、以後の話し合いでは割と話しやすくなれたので、ワイワイ自己紹介は私にとって効果があったと思う。
次に、自分が主体的に動いたことやその理由などを、一人で思い出すことをした。普段そのようなことを考えることはあまりないので、自分でも再発見だったと思う。因みに私の主体的に動いたことは、「家の手伝い」で、理由は経験が無かったこと、興味が湧いたこと、将来のため、全部ひっくるめて「自分に必要」だからであった。
続いて、KJ法により一人で思い出したことを班で1人ずつ話し、それをどんどん紙に書き出していった。私たちの班では、やることをしっかり把握していず、全員分をまとめることは出来なかったので、少し時間がもったいなかったと後から感じた。他の班もみんなで壁に張り出していくと、色々なことがあってとても面白かった。理由が大まかにグループに分けられるということは新たな発見で、なるほど、と思った。
次に、「動かない生産者はなぜ動かないのか?」について、班の中で考えを出していって紙に書き出した。考えられることは山ほどあったが、先ほどのように、これもまた大まかにグループに分けられることがわかった。
そして、そこまで考えてきたことを踏まえ、獣医が動かない生産者を動かす、というロールプレイを行い、感想をフィードバックシートに記録した。実際プレイをした3つの班を比べてみると、私がいたH班が「他の家族を通して説得させる」という方法で、F班が「獣医さんが親身になる」という方法、そしてA班は、H班とF班の中間という感じだったと思う。私はF班が一番いいと思った。やはり家族の協力というのは、いいお母さんであればありうるだろうが、どの農家でも絶対有りうる、という保障があるわけではないからだ。F班の良かったところは、獣医さんが一方的に言うのではなく、しっかり農家の人から状況を聞いて、その対応策を設定するまでを話し合いながら一緒にやっていたところだ。一方的に言うだけでは、農家の人は反発するだけだと思う。ちゃんと農家の人の話を聞いて改善策を考えてあげることまですれば、しないよりは農家の人も動く気になると考えられるからだ。
そのあと、他の人達のロールプレイの感想を聞いた。やはり、他人の意見を聞くと、自分たちでは気付かなかったことを教えてもらえるので、とても重要であると感じた。
最後に、自分のアクションプランを考えた。私の場合、「苦手な人に対して」で考えてみたが、今回のやったことによってやるべきことの考えをまとめてみたら、今までとは違う人との接し方ができそうに思えてきた。
全体を通しての感想は、私は実家が農家であることから、農家の立場からの考えも持つことが出来て、さらに獣医さんの考えていることも聞くことができて、とても参考になった。しかし、実際、私の親がどんな風に獣医さんと接しているかを見たことはあまりないので、早速、今度帰省したときに色々聞いてみようと思った。また、私は今まで生きてきた中で、自分が「苦手だな」と感じた人間には、なるべく触れないように、避けてばかり来ていたので、そろそろそれも卒業しなければならないと感じた。社会に出たら避けられないことなのだろうと思った。また、私の実家にもミーティングが絶対必要だと痛切に感じた。皆の意見を紙に書き出して、皆で話し合って、まとめ、具体的な目標を掲げる、という工程は、思った以上に、頭の中がすっきりまとまるし、皆の考えもまとまる。きっと、これが必要な農家はいっぱいあるのだろうな、と思う。このことをするだけで生産が向上するならば、全ての農家がやれば、農家というものは、お金をかけずに、もっと生活を豊かにすることが可能であると思う。
残念だったのは、堀北さんもおっしゃっていたが、時間が短かったことだ。もっとじっくり時間をかけてやったら、もっと色々な考え方が生まれただろうと思う。しかし、どうにか大体の流れで、新たな発見がたくさんあったのでこの講習会に参加することができたのは本当にいい経験になった。また機会があればぜひ参加したいと思う。

 

学生2

 正直な感想は、こんな方法があったのか、と驚いたことだ。どうすれば主体的に考えさせ、行動に移させることができるのかという疑問に対し、人間誰もが、人に言われてやるより、自分で考えたことをやりたいものであるという観点から、自ら問題に取り組みさせ、解決策を導いてもらう、というように結び付けることは、当たり前のようであって、なかなか思いつかないものであった。
自分が今回のワークショップに参加してみて感じたことは、主催者側の目的通り、「あ、俺、この会に参加している!」というごく当たり前のことだった。最初始まったばかりのときは、他の参加者は知らない方ばかりで、そのような方々とスムーズに意見交換ができるのか、と不安になった。しかし、最初はぎこちなかった会話も、だんだんと緊張がほぐれてきて、わいわいするようになっていた。この雰囲気は非常に重要であろう。
ワークショップの目的の一つに、他人の話を真剣に聴く、ということがあるが、これは、自分ひとりで考え、悩むよりも、違う人の考えを取り入れることで、新しい視点が持て、さらに学ぶことができる、といった考えからであろう。わいわいした雰囲気をもつことは、人が気軽に自分の意見を述べることを可能にし、周りの皆が吸収できることも多くなり、非常に有効である。

このワークショップという場は、ありのままの自分を出せる場であるとも言えるだろう。個人的な意見だが、このポイントが一番貴重なのではと思う。
普段私たちは、社会の中に生きるうえで、様々なしがらみを考慮に入れ、いわば妥協しながらもがき続けている。そういった現状にいては、自分が今本当に正しいと思っていてやりたいことなど、到底できないし、それを他の人に聞いてもらうことすらできない。もし、自分が他の人と違うことをしようとしていることがばれれば、周りからどのように批判されるかわからないのだから。その時点で、人は主体性を放棄してしまっている。それが当たり前の日本の社会であるから、だれもそれに気付きさえしない。
そこでワークショップという救いの手が現れるわけだ。そこでは何のしがらみもなく、ありのままの自分でいられる。それがワークショップがよい結果を生み出す大きな原因ではないだろうか。さらには、人間を根本から奮い立たせ、主体性を持たせることができるということから、どのような分野においても応用可能であろう。今回の、農家さんを相手にしたものや、国際協力の現場、さらには自己啓発に至るまで。
もちろん、すべてがうまくいくわけではないようだし、収拾がつかなくなることもあるだろう。しかし、それでも自分をさらけだしたことは、プラスにつながっていくにちがいない。
ワークショップの今後の活用は、そういった意味から大いに賛成する。ただし、やみくもにやってできるものでないから、私自身、ファシリテーションについて勉強していかなければならないのは、言うまでもない。
今回のワークショップに参加したことで、大いに興味を持てた、今後もこのことについて学んでいきたい。

 

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