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Africa Veterinary Epidemiology Veterinary Communication

獣医疫学/Veterinary Epidemiology

 

 

 エゾシカなどの野生生物と酪農家のバイオセキュリティ対策
 平成24年度成果報告書作成しました。


興味のある方は門平までご連絡ください。

 

女性酪農家におけるバイオセキュリティー実施の現状と意識調査
浅野沙希

2010年4月に宮崎で発生した口蹄疫に伴う「飼養衛生管理基準」の強化により、酪農現場におけるバイオセキュリティが見直されつつある。農場内での洗浄・清掃頻度と疾病の伝播との関係について海外では多数の調査が報告されているが、国内では酪農家単位でのバイオセキュリティ対策に重点をおかれた調査、とくに、搾乳や哺育など家畜と直接接する作業が多い女性の役割について調べた研究はほとんどない。
本研究の目的は、北海道帯広川西地区の酪農家を対象に、家畜と人間の移動や頻度にもとづき、家畜感染症伝播のリスクを推定し、女性の役割に焦点をあてながらバイオセキュリティの現状について調査することである。質問表を用いた調査を実施し、1回目は36戸で伝播リスクを、2回目に1回目に訪問した36戸のうちの25戸に飼養衛生管理基準の実施状況について聞き取り調査を行った。
衛生管理においては、埋却の準備や野生動物対策に準備不足がみられたが、基本的な消毒等は実践できていた。また、回答した女性の約半数がバイオセキュリティに対して前向きな意欲を示した。とくに女性は牛へのいたわりやストレスを軽減できるバイオセキュリティ対策を好む傾向が見られた。一方、衛生管理に関する情報を得る機会が少ない女性のために、家族間での情報共有は今後のリスク管理向上において重要な課題であることもわかった。女性ならではの視点や意見を尊重し実践することで、より確実な農家レベルでのバイオセキュリティが実現できると考える。


エゾシカから分離された食中毒原因細菌の保有率推定
福島 由子

北海道ではエゾシカの個体数の増加により、農林業被害や交通事故など人との軋轢が社会問題となっている。生態系のバランスを保持するためにも、適正な野生動物数を維持することは必要な施策であり、増えすぎたエゾシカの肉を食用として利用することは理にかなっている。しかし、シカやイノシシ肉の喫食による食中毒発生報告を考慮すると、解体時の衛生対策が行われていない状態のエゾシカ肉の流通は、汚染食品の産出や病原体の拡散を招く可能性がある。
本研究の目的は、食用に用いるエゾシカの腸内糞便からヒトの食中毒の原因菌となる4つの細菌(大腸菌群、赤痢菌、サルモネラ、カンピロバクター)の分離を行い、それぞれの細菌の保有率の推定を行うことである。2011年に北海道内の養鹿場で飼育されていた食用のエゾシカから、と殺直後に直腸内スワブ75検体を採取した。材料を採取したエゾシカの推定年齢は、0〜7才、体重が24〜117s、オス33頭、メス42頭の、計75頭であった。 
赤痢菌、サルモネラ、カンピロバクターはいずれも陰性であったが、大腸菌群の存在は31検体(オス11頭、メス20頭)で確認された。また、夏季と冬季における雄雌の保有率について有意差はなかった(p>0.05)。本研究では、検出された大腸菌群が病原性大腸菌であるかどうかの検査は行っていないが、解体処理業者や消費家庭において、糞便に汚染されない適切な衛生的処理や十分な加熱調理を行うことが大切である。消費者への知識の普及や衛生管理の徹底を測ることで野生動物由来食肉による危険は回避できると考える。

 

 

 
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