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Africa Veterinary Epidemiology Veterinary Communication

獣医疫学/Veterinary Epidemiology

 

 

 平成27年度卒業論文集を作成しました。


興味のある方は門平までご連絡ください。

 

鹿追町における牛乳頭腫症の農場レベルのリスク要因

高野 潤

牛乳頭腫症は、牛パピローマウイルスの感染によっておこる、体表皮膚や粘膜に良性の腫瘍病変(イボ)を形成する牛の病気である。近年、北海道の公共牧場において、牛乳頭腫症の集団発生が報告された。舎飼い牛より、河川と隣接した放牧地の放牧牛に発症が多く、病変部位が昆虫(特にブユ)の吸血痕と一致することが牛乳頭腫発症の特徴である。本研究の目的は、吸血昆虫の発生に関連する飼育場から川や湿地までの距離などの環境要因や予防方法などの飼養管理方法と、牛乳頭腫症の治療歴の有無との関連性を明らかにすることである。鹿追町は、然別川をはじめとした多くの清流が町内に流れており、ブユの好適な生息環境であるといえる。町内の酪農家を対象に、2015年3月に質問票を用いた聞き取り調査を、また、4月から7月にGPSを用いた飼育圃場から河川までの距離測定を行った。分析の対象としたのは、聞き取りおよびGPS調査の両方が実施できた農家(20戸)で、そのうち、乳頭腫の治療歴が有る農家は7戸、無い農家は13戸であった。治療歴のある農家のほうが、未経産牛(25ヶ月齢以上)の飼育頭数が多かった(p<0.05)。また、有意差は見られなかったものの、河川と放牧地までの距離が、治療歴のある農家(1860m)では治療歴のない農家(3464m)より短い傾向があった。本調査では、乳頭腫の治療歴に関わる直接的なリスク要因を明らかにすることは出来なかった。今後は、調査農家数を増やすとともに、町営牧場や他市町村においても同様の調査を実施していくことが必要であると考える。

 

薪採集に訪れる女性を対象にした環境意識調査

―ケニア・ロルダイガ農場を事例として―

土井 保真利

生物多様性を考えるうえで重要なことは、環境と野生動物の保全であると言われている。薪採集は発展途上国において重要な生計確立手段である一方、過剰な採集は森林破壊の原因にもなる。本研究では、ケニア国のロルダイガ農場に薪採集に訪れた女性を対象に、2008年に実施されたアンケート調査結果を分析し、農場周辺住民の環境意識を推定することが目的である。環境意識判断基準として、植林の実施、改良かまどの利用、そして、グループ活動への参加の3つの指標を用いた。8つの村の女性228名から回答が得られた。女性の平均年齢は42歳、家族構成人数の平均は4人であり、約半数の世帯で何らかのグループ活動に参加していた。植林実施率と改良かまど普及率は、それぞれ62%と8%であった。改良かまどの普及率が低い理由として、@認知度の低さ、Aかまど製作用資源の不足、B設置コストの高さが、一方、グループ活動においては参加したくても参加できない何らかの要因があると考えられる。村レベルの分析では、改良かまどの普及率が高い2つの村で植林実施率が低い結果となった。この2村ではグループ活動参加率が高かったため、グループ活動を推進することが改良かまどの普及につながる可能性がある。環境意識が高くなれば、自然を守り、野生動物との共存も視野に入るようになる。ロルダイガ農場のように、周辺住民への教育を行いながら、環境・野生動物保全に取り組む組織が多く設立されることを期待する。

 

観光客が御崎馬の採食・休息行動へ与える影響

山下美菜

宮崎県に生息している御崎馬は「日本の野生馬」とよばれ、同県の重要な観光資源となっている。しかしながら、生息地である都井岬の観光客数はピーク時の約10分の1にまで落ち込んでおり、近年、町全体の活性化のための観光基盤計画が策定された。本研究の目的は観光客の存在が御崎馬の採食・休息行動へ与える影響を調査することであるが、調査結果にもとづき、再開発において考慮すべき点についても考察した。都井岬内でも観光客がよく訪れる小松ヶ丘の御崎馬を対象とし、平成27年9月17日(連休前)から9月20日(連休中)までの4日間、午前9時から午後5時まで、1日8時間、観光客の多い時と少ない時の、馬が採食・休息行動に費やす時間を記録した。観光客の多少による御崎馬の採食・休息行動の平均時間には違いは見られなかった(p<0.05)。この結果から、調査対象とした小松ヶ丘の御崎馬は普段から観光客を見慣れており、都井岬の中でも人に慣れている個体だと推測できる。また、調査を実施した9月は、事前調査を行った5月のような繁殖および出産時期ではなく、生活環境が大きく異なっていた。以上のことから、観光客があまり訪れない場所や、1年を通した調査など、御崎馬の生態に合わせた調査計画を立て、継続的に観察することが重要であると考える。観光の再開発において留意して欲しいことは、第一に御崎馬の野生の姿を守ることであり、観光客数の増加だけを目指すような計画策定であってはならない。

 

 

 

岩手大学大学院連合農学研究科に在学していた山口英美さんも博士(農学)の学位を取得しました。学位論文の題目は、「アライグマの感染症に関連する環境リスク要因」です。論文は後日、研究科ホームページに掲載されますので、興味のある方は是非、ご覧ください。

 

 

 
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