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Africa Veterinary Epidemiology Veterinary Communication

獣医疫学/Veterinary Epidemiology

 

 

平成23年度卒業論文集

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Characteristics of traditional cattle farms in
Borgou District, Benin Republic

Paul Franck Adeyissimi ADJOU MOUMOUNI


Concerning livestock development in Benin, failure of attempts to introduce new breeds/techniques from developed countries has been recognized and traditional farmers’ knowledge in livestock farming is nowadays widely acknowledged.  A better understanding of characteristics of traditional farming system will contribute in identifying needs in trainings and how to merge farmers’ knowledge and veterinary science for better disease control and management. In this study, I aimed to describe the cattle farming practices in Borgou district.
The district, located in the North-Eastern part of Republic of Benin, fits the practice of livestock as well as crop farming due to its semi-tropical climate. Using a questionnaire and participatory rural appraisal methods, a cross-sectional survey was conducted in three divisions of the district from May to June in 2011. Within each division, two subdivisions were visited and a total of 150 cattle farmers were interviewed.
The majority belongs to Fulani tribe. In addition, the Gando tribe, originally crop farmers, were among the interviewees. Livestock rearing was the main occupation in Fulani and Fulani-Gando areas. The average cattle herd size was higher in Fulani dominated areas. The practice of dry- and rainy-seasons transhumance were common in Fulani dominated areas, while dry-season transhumance was common in Fulani-Gando areas,  and it was inexistent in Gando dominated area. Diseases such as trypanosomosis and pasteurellosis appeared to be an important constraint and their seasonal distribution varied from area to area. All farmers were aware of the importance of animal health care. However, the health care practices were influenced by the cultural background. Fulani farmers rely on traditional methods for ticks’ prevention, and despite of their ethno-veterinary knowledge, use government veterinary services when available and assist in training sessions on cattle management. On the other hand, herds’ care relies on veterinary assistants, and farmers never attended training at a Gando dominated area. Fulani showed signs of long term sedentarisation and some of them were involved in market orientated crop farming. The Gando has increased their knowledge on cattle farming and introduced to Fulani the practice of crops farming. Cattle farming practices in two tribes are getting similar, and it seems they have been evolved into a unique system suitable for their environmental conditions.

 

 

犬の遺伝病
―帯広市における飼い主の意識調査―

松山 碧生

犬の遺伝性疾患、遺伝病に興味を持ち始めたきっかけは、昨年の夏、自分の飼っている犬(アメリカン・コッカー・スパニエル;当時0歳)が、遺伝が主な原因であると言われる“瞬膜腺脱出(チェリーアイ)”という眼疾患を発症したからである。近年、過熱し続けるペットブームの中、犬の遺伝的問題が多く生まれ、それらに苦しむ犬や家族である飼い主が多く存在する(日本畜犬遺伝性疾患協会2010)。犬は近縁個体間の繁殖が多く、遺伝的に疾患をもっている犬でも繁殖に用いて子犬を生ませることから、多発する遺伝性疾患が問題となっている(菅原ら2007)。
犬の遺伝性疾患は予想以上に沢山あり、約500の疾病が確認されている(三木2010)。これらは、内分泌疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、神経疾患、血液疾患の5つに分類できる。例えば、コリー眼異常(原ら1993)、進行性網膜委縮症(津曲2010)、股関節形成不全(土田2003)などである。また、遺伝性疾患には原因遺伝子が解明されて診断が可能になったものは少なく、遺伝子治療もあまり普及していないのが現実である。菅原ら(2007)は、日本には遺伝子検査が可能な機関は少なく検査が可能な疾患が限られているため、今後は研究施設を増やし、同時に犬種ごとのデータベースを構築することによって、繁殖する前にデータを把握できる環境を整えるべきであると唱えている。現在、日本には、レントゲン写真で骨遺伝性疾患を診断する日本動物遺伝病ネットワーク(Japan Animal Hereditary Disease Network; JAHD)とDNA検査をおこなう日本畜犬遺伝性疾患協会(Inherited Disease In Dogs Association JAPAN; IDIDA JAPAN)が存在する。しかし、JAHD では3 疾患、IDIDA JAPAN では23 疾患しか検査することができない。
それぞれの疾患について病理発生や発症状況、そして遺伝が関わってきているということを記述する文献は発表されているが、ブリーダーや飼い主など犬に関わる人たちが遺伝性疾患に関して、どれくらい知識を持っているかについての報告はない。よって、ペットの犬に一番身近な存在である“ 飼い主” に焦点を当てて、遺伝性疾患に対する飼い主の知識や意識を分析することが研究の目的である。この結果にもとづき、解決策を考え、身近なところから行動することにより、遺伝性疾患で苦しむ犬や飼い主を減らすことが可能となるのではないかと考える。

 

学校動物飼育を北海道で発展させるには
−実態調査から見えた課題と考察−

井澤 英俊

近年、犯罪の低年齢化・凶悪化にともない、心を育てる教育や生命尊重の心を育む教育の必要性が叫ばれている。これらの教育におけるキーワードは『共感性』である。共感性とは「他人とのつながりの中での優しさ、援助、協力、いつくしみや利他性」を意味する。これは、基本的には、他人を『大切に思い、配慮する』ことである。その共感性発達のためのアプローチとして、幼稚園・小学校における学校動物飼育がある。「学校動物飼育」とは学校の教室内や飼育小屋で児童が動物の飼育を行う活動で、動物との触れ合いをとおして生物尊重の心、動物理解、自然との共生意識などをはぐくむことができる。また、「学校動物飼育」とは、子どもたちの感性や想像力、責任感、協調性、優しさ・思いやり(共感性)など、人間が生きていく上で必要な感性を育てることを目的とする活動でもある。新学習指導要領にも飼育活動などの体験学習が重点化されており、「こころの教育」がますます重要視されてきた。
現在、全国の小学校の約9割で学校動物飼育に取り組んでいる。東京都、岐阜県や群馬県の小学校では、動物飼育は教育効果が高く、生命に対する尊重の心や共感性、向社会的態度が育まれたという報告がなされた(全国学校動物飼育研究会2011)。北海道においても、札幌市・旭川市・帯広市・釧路市の4都市の全公立小学校を対象に一校につき一名が代表として質問票に回答するという形で2008年から2009年にかけて調査がなされた。その結果、調査対象学校の約8割が動物飼育を実践していたことがわかった。「動物を可愛がる気持ち」や「責任感」を育てる目的に対しては狙い通りの効果を得られたが、最終目的である「生命の尊さを実感できる」や「生き物の気持ちを考える」などの目標が達成できたのは2割程度であったという。以上の結果から、現状の動物飼育方法だけでは最終目的である「生命の尊さをはぐくむ心」を育てることは難しいことが推察できる。
そこで、本研究では、現場で働く「教師」から学校動物飼育の実態を探り、先行研究では十分な調査がなされなかった、教師の考えや意識が学校動物飼育活動に与える影響について考察する。その際「北海道獣医師会」「教育委員会」の側面からも学校動物飼育の現状を描き出していく。学校動物飼育活動は現在問題になっている命の学びや心の教育に非常に貢献できる活動なので、改善にむけて何らかの提案ができることを希望している。

 

東京都の酪農教育ファームにおける
衛生管理の現状と酪農家の意識調査

野崎 麻友

平成13年9月のBSE(牛海綿状脳症)発生や14年の食品偽装表示問題などにより、消費者の食の安全に対する要求が高まった(酒井2003)。これを受けて、生産から消費までの一貫した衛生管理が重要視され、家畜の生産段階でもHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)方式の衛生管理手法導入のため「衛生管理ガイドライン」を策定した(農林水産省2002)。さらに昨年4月に宮崎県で猛威を振るった口蹄疫の影響により「出口付近の消毒設備の設置と、人・車両の出入りに際しての消毒」が新たに家畜伝染病予防法で義務付けられた(農林水産省2011)。
このように、衛生管理への規制が厳しくなる中で、東京都産業労働局では家畜や緑に触れる機会の少ない一般の多くの消費者に対して畜産業を理解してもらうことを目的に、酪農教育ファームでの子供たちと畜産とのふれあいによる食育を推進している(東京都産業労働省2006)。実際に、ふれあい体験をした児童は牧場や酪農に関して強く興味を持ち、「食」と「いのち」のつながりを感覚的に理解することができたという(若木2005)。しかし、口蹄疫などの感染症が人や車などを媒介として感染する可能性があることから、多くの外来者が訪れる酪農教育ファームは他の牧場に比べて感染症発生リスクが高いと考えられる(中央酪農会議2010)。宮崎県での口蹄疫が発生した際にも、発生・拡大を予防するために酪農教育ファーム委員会は事態が終息するまでの間、ふれあい体験の極力中止、さらに、やむなく実施する場合の十分な事前協議及び防疫対策の徹底を要請した(中央酪農会議2010)。宮崎県による「終息宣言」がなされた今、酪農教育ファーム活動を適切に実施していくためには、牧場での日常的な安全衛生対策に加え、防疫に万全の配慮をしたふれあい活動を構築することは必要であるとし、対応マニュアルが作成された(中央酪農会議地域交流牧場全国連絡会2010)
対応マニュアルが作成されてから約1年がたった今、実際の現場はどの程度、防疫措置を実践しているのであろうか。本研究では、東京都の酪農教育ファーム8戸を対象に、酪農教育ファーム活動及び衛生管理に対する酪農家の意識と現状を調査し、より衛生的な酪農教育ファームを続けていくために改善すべき点について考察する。本研究が、酪農教育ファームを運営する酪農家の衛生管理に対する意識を高め、より衛生的な酪農教育ファーム活動を続けていくきっかけになることに期待している。

 

大学生が考えるHIV/ エイズとその現状
〜日本とフィリピンにある2大学での調査〜

佐藤 充

HIV とはヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)の略称で、HIVの感染によって免疫不全を起こし、カンジダ症などの日和見感染やカポジ肉腫などの悪性腫瘍を発症してくる症候群を総称して後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome:AIDS)と呼ぶ。2010年末、HIVの感染者数は世界で3330万人を突破し、世界的な流行を迎えた(UNAIDS 2010)。地域別にみるとサハラ砂漠以南のアフリカ諸国(サブサハラアフリカ)の感染者数が2250万人とその約7 割を占め、成人のHIV陽性率も5%と高い。一方、東アジアでは感染者は77万人と数はサブサハラアフリカに比べて多くはないが、新規感染者数の割合が多く、2020年までに新たに800万人が感染する恐れがあると言われている(UNAIDS 2008)。日本では2011年の四半期のHIV感染者は過去最高の136 人を記録したことからも感染拡大は顕在化してきている( 厚生労働省 2011)。
HIVに感染するリスクの高いグループは、大きく二つに分けられる。ひとつは、女性や子どもを中心とするアフリカ型と呼ばれるグループである。もうひとつが若年者・男性間性交渉者(Men who have Sex with Men : MSM)・性的乱交者・麻薬中毒患者(Injection Drug Users:IDU)を中心とする先進国型と呼ばれるグループである。国や地域によってハイリスクグループの割合はそれぞれ異なる。たとえば、日本は、感染者の70%をMSMが占める先進国型で、先進国で唯一エイズの年間報告者が年々増加している。しかし、10代の感染者に限っては女性が多いというアフリカ型であり、HIVの罹患率を知るすべであるHIV検査の抗体検査の件数は15%減とHIV検査が浸透していない(厚生労働省2011)。一方、フィリピンでは、2007年まで低い感染率を維持していたのに、2008年から増加傾向にあり、感染者の約8割がMSMを含む男性という先進国型であった(DEPARTMENT OF HEALTH 2011)。
そこで、本研究では、共に先進国型である日本とフィリピンの、各1大学、計2校で、ハイリスクグループである「大学生」を対象に、大学生のエイズに関する意識、知識、行動の実態を調査した結果を報告することが目的である。

 

北海道帯広市大正地区における家畜伝染病の
「感染」と「拡大」のリスク推定

柴口 将臣

近年、家畜伝染病は、感染様態によっては農家一戸に留まらず、市町村や都道府県、さらには国全体にも影響が及ぶものとして対策が迫られている(農林水産省 2011)。宮崎の2010年の口蹄疫発生では、8月27日の終息宣言まで出荷が停止し、約29万頭の家畜が殺処分され、約2,350億円の損失があった(宮崎県口蹄疫対策検証委員会 2011)。2010年1月には韓国でも口蹄疫が発生し、6月に終息宣言が出されたものの、同年11月には再発生が確認されるなど、海外からの伝播も警戒されている(農林水産省 2010)。
家畜伝染病を予防し、また万一発生してしまった際にも効率よく事態を収束させるための方法として、バイオセキュリティがある。バイオセキュリティとは家畜伝染病を予防するため『感染と拡大』を両面から防止する施策である(デーリィ・ジャパン社 2000;永幡ら 2005)。家畜伝染病の主な経路には、接触感染、経皮感染、経口感染、空気感染がある。具体的には、家畜同士の接触、感染家畜に接触した人間や物との接触などである。消石灰の散布、外部から人間や車両等が入ってくる際の徹底的な消毒、野生動物との接触防止等がバイオセキュリティの方法として使われる(デーリィ・ジャパン社 2000;坂本ら 2000)。よって、家畜や人間等の移動パターンを把握することがバイオセキュリティの向上に繋がると言える。アメリカ・カリフォルニア州で行われた調査では、3つの地域の農家を対象に「直接的感触」と「間接的接触」の頻度、家畜や人間の移動距離を調査し、その農家の『感染と拡大』リスク を推定し評価した(Thomas ら 2001)。
本研究では、上記のカリフォルニアでの調査方法を応用しながら、北海道帯広市大正地区を対象に、家畜と人間の移動を調査し、移動の距離、頻度等に応じた採点基準を設け「リスク」をポイント化し農家別にリスク評価を行った。大正地区という自治体、および農業協同組合に属する農家の特色を明らかにすることで、地域に最適なバイオセキュリティ計画の設定の一助となることを希望する。

 
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