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Africa Veterinary Epidemiology Veterinary Communication

獣医疫学/Veterinary Epidemiology

 

 

ヒトと動物の関係を帯広で考える
平成21年度成果報告書作成しました。


興味のある方は門平までご連絡ください。

 

Farmer field school for developing small-scale dairy industry in the Philippines
フィリピンにおける小規模酪農業振興のために必要なこと
-ファーマー フィールド スクールにおける農業教育-

河野佑樹

【目的】フィリピンでは、乳製品の99%を輸入に依存している。残り1%だけは国内産で、そのうちの96%が小規模酪農家によって生産されている。それゆえ、国内の牛乳生産量を高めるためには、いかにして小規模酪農家に増産を奨励するかが重要となってくる。本研究では、まず、フィリピンにおける酪農業を取り巻く問題点を明らかする。そして、小規模酪農従事者への農業教育に注目し、具体的な普及方法について議論する。
【方法】国家酪農局や農業統計局の発行したデータをもとに飼養状況等を調査しながら、著者自身の経験も踏まえて改善策を提案した。
【結果】フィリピンでは、酪農はほぼ、家族経営で行われており科学的見地よりも伝統、習慣が重視される傾向がある。そのため、普及による技術の移転がうまくいかないという一面があるので、科学技術を理解するための専門的な教育の機会が必要となる。この問題解決策として、ファーマー フィールド スクール(FFS)が推薦できる。FFSは、社会学習の場となるだけではなく、農家の自発的学習の場として、また、酪農分野のプロフェッショナルを養成する場として有効である。農業教育の重要性を認識し、農民の教育レベルを高めていくことが、小規模酪農業振興のためには欠かせないステップであると考える。

 

帯広川西における
乳牛の発情発見方法ならびに酪農家が考える繁殖管理

稲垣沙友里

【目的】近年、乳牛における繁殖成績は年々悪化している。悪化の要因は様々であり、多くの要素が複雑にからみあっている。しかし、最も繁殖成績に影響すると考えられるのは、酪農家における繁殖管理である。特に、繁殖の始まりである発情発見率を向上させることは、繁殖成績向上につながると考えられる。本研究では、発情発見の方法や農家の意識など繁殖管理の実態を調べ、繁殖管理法と繁殖成績がどのように関連しているのか推測することが目的である。
【方法】著者自身が帯広川西管内の酪農家36軒を訪問し、質問票を使い、聞き取り調査を行った。さらに、乳検に加入し、かつ閲覧許可が得られた30軒を対象に、発情発見率(乳検データに基づき計算)と繁殖管理方法との関連性について分析した。
【結果】半数の農家(19/36=52.8%)は、乳牛の発情徴候が「分かりづらくなった」と感じていた。また、発情発見率を70%以上と未満のグループに分けて分析すると、70%以上の農家では、搾乳牛頭数と発情発見者数が少なく、搾乳牛をパドックへ常時開放していた。これらの結果から、繁殖成績向上のためには、牛へのストレスをできるだけ減少させ、発情徴候を確実に見つけ出す努力をすることが重要であると考える。

 

ケース・コントロール研究手法を用いた
北海道別海町における牛のサルモネラ症発生
に関連するリスク要因の研究

高井智史

【目的】牛のサルモネラ感染症は主に子牛で多発し、感染すると下痢や敗血症による発育障害や損耗により、子牛の健康だけでなく生産性にも大きな被害を及ぼす。近年では、成牛での発症もみられ、特に搾乳牛での症例が増加している。本研究の目的は、2006年から2008年における別海町内での牛のサルモネラ症が発生した農家を対象に、発生に関連する農家レベルでのリスク要因を探し出すことである。
【方法】別海町における2006年から2008年の間に牛のサルモネラ症が発生した農家13軒(ケース)と発生しなかった農家35軒(コントロール)、計48軒を対象とし、ケース・コントロール研究を実施した。
【結果】サルモネラ症発生と関連のあった農家レベルの要因には、母牛に舐めさせた後に子牛を離す(オッズ比:4.8)、飼育形態がフリーストール(オッズ比:4.1)、糞尿処理方式がスラリー(オッズ比:4.1)、グラスサイレージは自家生産(オッズ比:4.0)、夏季のサイレージ取り出しあり(オッズ比:3.9)のほかに、ハトやキツネなど動物の侵入も関連していた。以上のことより、牛サルモネラ症発生を防ぐためには、牛舎内の徹底的な清掃・消毒、出産直後の子牛の母牛からの離別、飼料や肥料の衛生対策の強化、野生動物の侵入防止等の実践が重要となる。

 

国内の動物園で高齢個体を支える人々
−ゾウ・キリン・ホッキョクグマの飼育管理状況−

福田 貴子

【目的】国内の動物園では高齢な飼育動物が増えている。「終生飼育」が一般的な日本において、高齢個体の飼育管理は非常に困難であり、試行錯誤で飼育を行う園が多い。本調査の目的は、国内で飼育されている高齢個体の飼育管理状況を調べ、有用な方法を提案することである。
【方法】調査対象はゾウ・キリン・ホッキョクグマの3種に絞った。質問表は、「高齢」の定義・餌の給餌方法・飼育環境・高齢個体に対するケア・削蹄方法(ゾウ・キリンのみ)・過去5年間の病歴の6項目より構成され、12園に郵送された。その後、著者が訪問し担当者から詳細について聴取した。
【結果】訪問できた11園とも、前例があまりないにも関わらず、各個体に適した飼育管理を行っていた。特に印象に残った点は、餌の給餌方法と削蹄方法であり、個体への負担が最小限になるように工夫されていた。来園者も含めて高齢動物に接するすべての人々が、長年その個体を慈しみ、じっくり接することが長寿の基本となっている。野生動物は自分の弱い部分を隠そうとするため、日頃からの個体観察が重要である。高齢個体を飼育するためには、飼育員が動物と信頼関係を十分に築くだけではなく、来園者と動物との距離を短くすることも有効と考える。

 
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