乳牛のページ


乳腺の乳生産および乳分泌機能に関する研究
培養した泌乳牛の乳腺細胞を用いて、乳合成と乳分泌の機構を探り、
試験管内でミルクを作る

 現在は、屠場で廃棄された乳房から乳腺組織を採取しています。
 すぐに研究室に持ち帰って出来る限り殺菌して、クリーンベンチ内に持ち込み、酵素で消化して段階的にフィルターでで濾過し、最終的に乳腺細胞塊を回収しています。
 回収した細胞塊はコラーゲンゲルの中に包埋して、乳腺発育ホルモン類を含む培養液を加えて培養します。
 培養後1日経つと、細胞塊から単一細胞が遊走し始め、さらに数日経つ内に3次元的にアメーバのような突起が細胞塊の外側のゲル内に伸びてきます。
 培養4・5日目には細胞塊同士がアメーバ状突起で連絡したり、培養ウェル内に無数に増殖します。
 増殖した細胞が多いと、細胞塊を包むウェル内のコラーゲンゲルが収縮し、ウェルから剥がれて、浮遊ゲル状態になります。
浮遊ゲル状態の時の培養液中ホルモン組成を、PRLを主体とする泌乳開始ホルモン群にして培養すると、培養液中にα-caseinが分泌されることを調べました。
 今後は、いかに乳腺細胞を増殖させて、また乳の合成・分泌を活発にさせる添加物の組み合わせや、濃度についてより詳細に検討し、試験管内で乳が合成出来るよう研究を続ける予定です。

 試験管内で合成された乳から、チーズやバター、乳飲料が作れるようになれば、長期滞在する宇宙での食物の一つになるかもしれません。こんな夢を持っています。


乳房炎および乳質に関する研究

 乳房炎は乳牛における最大の職業病です。乳房炎を予防したり、早期に発見して治療を受けさせることで、美味しいミルクを生産しつづけ、大切な牛をひどい乳房炎にしてしまって廃用にすることもなくなります。
 乳房炎は一つ問題があります。それは乳房炎を引き起こす病原菌が1種類でなく、牛が飼われている周りに無数にいる多種類の細菌の大部分が乳房炎を引き起こすことが出来る細菌になりうることです。
 おまけに人の手指についている細菌も、乳房炎を引き起こせます。
 このように牛の環境にいる多数の細菌が乳房炎起因菌となるため、乳房炎細菌の感染起序はまだまだ不明点が多いのです。
 しかし乳房炎の研究を生体の牛を使って行うとすると、牛を乳房炎でだめにしていまい、廃用にしてしまう可能性があります。
 そこで、上で述べた培養乳腺細胞が生かされるのです。

 当然、材料は屠場で廃棄された乳房から採取した乳腺組織を用いています。上で述べたのと同様な方法で乳腺細胞塊を培養します。但し、今回はコラーゲンゲル内に包埋するのではなく、ゲル上に細胞塊を蒔いて培養します。
 培養後、5日から10日ぐらいで培養プレート内に1層の細胞が一面に増殖したモノレーヤーが形成された時点で、様々な細菌に感染させて、感染後何時間で細胞に付着し、侵入していくかを調べました。
 最初に、ゲル上で細胞を増殖させる方法について苦労しました。
 様々な失敗や、工夫の後、今では何とかゲルをコートしたカバーガラス上にモノレーヤーを増殖させることが出来、細菌感作実験を行っています。
 今後、感染させる細菌の種類を増やしたり、抗菌物質で付着を阻止したり、様々なことを検討したいと思っています。

 

現在の研究の状況と、今後の研究目標?について、とりとめもなく述べてみました。
興味を持たれた方は

kfuru@obihiro.ac.jp

までE-mailを下さると、とても嬉しいです。


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Updated: Oct 19,1999
by K. FURUMURA