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帯広畜産大学 畜産学部 生命科学講座 細胞分子制御科学分野
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教授

小田有二

 

専門分野:微生物利用学

研究内容微生物および酵素を利用した農畜産物の加工変換技術に関する研究

 

研究テーマ

1)フレックス酵母によるテンサイシックジュース・チーズホエー混合原料からのバイオエタノール生産(農林水産省委託・新たな農林水産政策推進する実用技術開発事業)

 

チーズ製造の際に副生するホエーの主要成分であるラクトースはエタノールの発酵原料となり得るものの、糖濃度が約5%と低く、また通常のエタノール生産用酵母Saccharomyces cerevisiaeは発酵できません。そこで、テンサイシックジュース(濃縮汁)などと混合して発酵原料とする方法が考えられますが、ラクトース発酵性の酵母であってもスクロースが存在するとラクトースの消費は抑制されてしまいます。本研究は、酵母Kluyveromyces marxianusから新規に作出したフレックス酵母によって、テンサイシックジュース・チーズホエー混合原料から安定的かつ効率的にエタノールを生産する技術を開発するものです。詳細は下記の発表論文ADをご覧ください。

 

 

2)新しい製パン用酵母の開発

 

日本で使用されているパン用小麦の大部分は輸入されていますが、国産原料でつくったパンに対する人気には根強いものがあります。そこで、わが国最大の小麦産地である北海道では、最近、製パン特性を大幅に改善した小麦品種が続々と開発され、その生産量も増加しています。パン製造において普通に使用される酵母はイーストメーカー保有の菌株を培養した菌体ですが、私たちの研究グループでは使用する主要原料である小麦と酵母を地元北海道産にした地域特産のパンをつくろうと計画しました。そして、酵母については北海道の自然界から探索し、エゾヤマザクラのサクランボからパン生地を膨張させる能力に優れた酵母サッカロミセス・セレヴィシエ AK46を見出しました。「とかち野」と名づけられたこの酵母は、通常のパン酵母とは異なってショ糖発酵性遺伝子の組成が単純という野生種に近い性質を有しており、DNAを解析することによって容易に判別することができます。

「とかち野酵母」は様々な製パン法に適用可能ですが、最大の特徴は多くの製パンメーカーで採用されている中種法に好適という点です。この中種法では、まず小麦粉、水、酵母で練り上げた中種生地を30℃前後で4時間程度発酵させ、これに残りの原料を加え混捏した生地をさらに発酵して焼成します。良質のパンをつくるには、糖を添加しない中種生地を十分に発酵させる必要がありますが、自然界から分離される酵母菌株の多くはこの性質が不十分なのです。これに対して、「とかち野酵母」は、中種生地を通常のパン酵母と同様に十分膨張させることができるため、通常のパン酵母と同様のふっくらしたパンをつくることができます(写真1)。これら二つのパンを比較すると、「とかち野酵母」でつくったパンは表面の焼色がやや薄く、官能検査でしっとり感が優れているという評価を受けています。

「とかち野酵母」は日本甜菜製糖株式会社から販売されるようになり(写真2)、北海道産小麦との組み合わせによって様々なパンが商品化されています(写真3)。詳細は下記の発表論文@Bをご覧ください。

 

 

中種a

写真1.「とかち野酵母」(左)と通常のパン酵母(右)でつくった食パンの外観

 

 

とかち野酵母パッケージ

写真2.製パン用ドライイースト「とかち野酵母」

 

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写真3.「とかち野酵母」を使った商品