平成22年度学位記並びに修了証書授与式 
第59回畜産学部学位記授与式,第50回別科修了証書授与式並びに第43回大学院学位記授与式が,3月18日(金)午前10時から講堂において,関係者の列席のもとに挙行されました。
長澤学長から,学部卒業生235名並びに大学院修了生48名に学位記が,別科修了生13名に修了証書が,それぞれ代表者に授与されました。次いで畜産衛生学専攻博士後期課程1名に「畜産衛生学」の学位記が授与されました。
次いで学長が告辞を述べ,引き続き,ご臨席いただいた帯広畜産大学同窓会会長の太田助様から祝辞をいただきました。
その後,学生表彰が行われ,学長から学業成績優秀者12名に表彰状と学生後援会から記念品が贈呈されました。
続いて,ご来賓の同窓会会長,理事,監事,副学長の紹介があり,最後にマンドリンサークルによる帯広畜産大学逍遙歌の演奏があり,蛍の光が流れるなか,卒業生,修了生が退場し,式が終了しました。
告 辞
本日ここに,ご来賓,ご家族,教職員のほか,関係各位のご臨席をいただき,平成22年度の学位記並びに修了証書授与式を挙行できますことは,本学にとりまして大きな喜びであります。
畜産学部,別科草地畜産専修,大学院畜産学研究科のそれぞれの教育課程を終了され,本日,この式典に臨むことができますのは,皆さん自身が努力と研鑽を重ね,それぞれ固有の困難や課題を克服した結果であり,深く敬意を表します。留学生の方々は,母国の期待を担い,環境や文化の違う地において,さらに苦労が多かったと思います。卒業あるいは修了の時を迎えられたすべての皆さんに,心からお祝いを申し上げます。
また,本日ご出席くださいましたご家族の皆様には,帯広畜産大学卒業あるいは修了という子供さんの晴れの日を迎えられ,感慨もひとしおのことと推察いたします。誠におめでとうございます。
さて,本学は,昭和16年に創設され,今年で70年目を迎えます。創立当初は,厳しい社会情勢の中,校舎もなくスタートした帯広高等獣医専門学校に132名が入学し,昭和18年秋には,第1回卒業式が挙行され,104名に卒業証書が授与されました。戦時下の食糧難や情報不足,あるいは施設設備も不十分な中で,学生と教職員が一体となって,耐久生活をしのいだ苦労話は,諸先輩の語り草となって伝えられているところです。20年前に発行された創立50周年記念誌の中に,こうした試練を乗り越えた本学の同窓生は,他大学の同窓生と異なり,「何かを持っている。」と世間の人によく言われたということが記載されています。
昭和24年には学校教育法の改正による新制大学として帯広畜産大学が設置されました。その後,学科の新設あるいは再編,別科草地畜産専修および大学院畜産学研究科の新設を経て現在に至っています。
大学周辺の十勝の自然環境と比較すると,キャンパス内の光景の変遷は驚くばかりです。建物の新設や改修が進み,教育研究基盤の整備も格段に充実してきました。同時に,大学を取り巻く社会の情勢も大きく変化しています。少子高齢化の進行,グローバル化社会の進展,環境問題の深刻化,食の安全・安心への関心の高まり,技術革新あるいはイノベーションの進行など,例をあげるときりがありません。また,リーマンショックに端を発した経済不況,年金問題や福祉・医療への不安も依然として大きいのが現状です。
しかし,今,私たちが直面し,心を痛めているのは,このたびの東北地方太平洋沖地震による東日本大震災であり,これによる被災地の悲惨な状況であろうと思います。マグニチュード9.0という例を見ない規模の巨大地震であり,犠牲者の数は日を追って増加しています。現在,国をあげて救援活動が進められていますが,多くの被災された方々が,厳しい避難生活を余儀なくされています。震災の犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに,被災された方々に対して,心からお見舞い申し上げます。私たち一人一人が,被災した各地域の人々の復興への道のりを見守りつづけ,できうる限りの支援をし,助け合うことが必要であると考えます。
本学のミッションは,知の創造と実践によって実学の学風を発展させ,「食を支え,くらしを守る」人材の育成を通じて,地域及び国際社会に貢献することです。農学,畜産学,獣医学は,実学を重視した学術分野であり,いわゆる,知の活動は「自ら労して,自ら食らう」我々の生活に根ざしたものでなければなりません。現在,食料生産分野に限らず,多様な分野において農業が注目されており,21世紀最大の成長産業とも言われています。この理由は,農業は生活基盤であり,食料は健康基盤ですから,現代社会が抱えている地球温暖化,食料安全保障,環境問題,エネルギー問題,感染症など地球規模問題の解決には,農業を支える農学,畜産学,獣医学の学術貢献が必須であるということです。本学で学んだ皆さんは,国際的視野を持ち,環境にやさしく,持続可能な農業や食産業を通じて大きく社会貢献する人材であると確信します。
今のように,自然災害や経済不況,政治不信や国際紛争など,社会が混迷している時代こそ,困難を克服しうる人材が求められています。学歴偏重主義の時代が終わり,人物本位あるいは実力本位という時代になりました。しかし,今,社会が求めている人材は,「困難に直面したときに,あきらめずに前向きに歩むことができる人材」あるいは「前例など当てにせず,何事にも挑戦する意欲や情熱がある人材」であり,「失敗したり思い通りに行かない時も,根気強くやり遂げる気力を持っている人材」なのです。周りとコミュニケーションをとり,協調性をとることも重要です。そして,何よりも,周りの人を思いやり,周りの人から信頼され,信用されることが,社会に求められている人材であると思います。
終わりに,本学を巣立つ同窓の皆さんのこれからの人生が夢と希望に満ち,心と,からだの健康を保ち,「食を支え,くらしを守る」分野で,地域社会や国際社会に大きく貢献することを祈念して,告辞といたします。
平成23年3月18日
帯広畜産大学長
長澤 秀行

