第10回畜産衛生に関する帯広ワークショップの御案内
近年,高泌乳牛の繁殖機能と受胎率の低下が先進国でまぎれもない事実として認識され,その原因について様々な場面で議論されています。ご存知のとおり,乳牛では育種戦略によって過去30年間の泌乳能力が直線的に伸びた結果,10,000 kgの泌乳量を超えるような高泌乳牛の体質は,今や10年前の乳牛とは異なっていることを示唆する生理学的証拠が多く示され始めています。これらの問題は,酪農家の経営基盤に直接大きく影響しており,繁殖成績改善は急務であることは明らかです。誰もが問題を認識しているにもかかわらず,問題の理由が複雑であるあまり,簡単な説明と対応では目に見える成果となっていないのが現状です。
ウシの体が変わったのか,それとも飼い方が追いつかないのか?
「栄養と繁殖」の問題のうち,ミネラル,ビタミンについては30年前から多くの事例をもって示されてきています。今回の帯広ワークショップでは,その摂取不足が指摘され,繁殖機能を含むウシの生理状態に深く関与するβカロテンとビタミンAが,高泌乳牛の健康維持に果たす役割を理解することを目的に,長年この分野を引っ張ってこられた小野 斉氏(帯広畜産大学名誉教授)に,酪農現場での現状と課題についてご紹介いただきます。次に,ドイツからこの分野に詳しいSchweigert氏(ポツダム大学獣医生理学講座主任教授)を招き,乳牛におけるβカロテンとビタミンAの生理学について基調講演いただきます。
さらに,青木氏(北農研)には乳牛における酸化ストレスとビタミンの関係について,高橋氏(根釧農試)には牧草中と粗飼料中のβカロテンとαトコフェロール含量について,それぞれ解説いただきます。続いて,木田氏(帯畜大)には乳牛における飼料品質と血中ビタミンA,βカロテン濃度と健康について,最後に川島氏(帯畜大)には血中βカロテン濃度と卵巣機能の関係について紹介いただきます。
こういった栄養素の重要性を調べる際に,最も基本となるのが血中のレベルを知ることですが,例えば,これまでβカロテンについては液体高速クロマトグラフィーを用いた研究室レベルの分析設備とスキルが必要でした。この度,幸いなことに,Schweigert教授がDSM ニュートリション ジャパン(株)と共同開発した極めて簡単に精度の高い血中βカロテン濃度の測定ができるキット(i-Check)を利用できる状況になり,今後,北海道の高泌乳牛の地域ごとの調査が進むものと思われます。今回のワークショップでは,帯畜大での乳牛の調査結果の一部を紹介いただきます。
今回のワークショップで紹介される内容は,カラー印刷のわかりやすい資料として配布されます。是非,お手元に置いていただき,今後の基本的な情報として活用いただきたいと思います。最後に,今回の第10回畜産衛生に関する帯広ワークショップは,北海道農業研究センターと帯広畜産大学の主催として運営され,NPO法人 グリーンテクノバンクの共催,十勝獣医師会の後援を頂いております。
皆様におかれましては,ご多忙のこととは存じますが,万障お繰り合わせの上,ご出席賜りますよう御案内申し上げます。この機会が,高泌乳牛の健康をめぐる諸問題とその解決に向けたネットワークへと進展することを願っております。
「高泌乳牛の健康科学: 乳牛の酸化ストレスとβカロテン・ビタミンAの重要性」
日 時:平成20年11月7日(金)10:00~16:30
場 所:帯広畜産大学講堂(帯広市稲田町西2線11番地)
~ プログラム ~
- 10:00~10:05 はじめに
宮本 明夫(帯広畜産大学)・坂口 実(北海道農業研究センター) - 10:05~10:40 我が国における乳牛のβカロテンとビタミンAの重要性
小野 斉(帯広畜産大学・名誉教授) - 10:40~12:00 乳牛におけるβカロテンとビタミンAの生理学
Florian Schweigert(ポツダム大学)
通訳:澤田 久美子(DSM ニュートリション ジャパン) - 13:30~14:00 乳牛における酸化ストレスとビタミン
青木 真理(北海道農業研究センター) - 14:00~14:30 牧草の発育ステージと調製方法による粗飼料中βカロテンおよび
αトコフェロール含量の変動
高橋 雅信(北海道根釧農業試験場) - 14:30~15:00 乳牛における飼料品質と血中ビタミンA,βカロテン濃度と健康との関係
木田 克弥(帯広畜産大学) - 15:10~15:40 乳牛の血中βカロテンと卵巣機能の関係
川島 千帆(帯広畜産大学) - 15:40~16:30 総合討論
坂口 実(北海道農業研究センター)・宮本 明夫(帯広畜産大学)
- 昼休み(12:00~13:30) -
- 10分休憩 -
懇親会
18:00~20:00 (会費 4,000円, 十勝ビール〈帯広市西1条南9丁目6番地〉)
【ポスター】
【申し込み】
- 参 加 費 :無料 (当日は和訳総説を含むカラー資料集を配付)
- お申込方法:下記問い合わせ先にE-mailまたはFAXにて,ワークショップおよび懇親会の参加の可否を申し込みください。締切は10月24日(金)
- 問い合わせ先:帯広ワークショップ事務局
帯広畜産大学大学院畜産学研究科 畜産衛生学専攻 担当:加藤
TEL:0155-49-5416 FAX:0155-49-5459
e-mail:kaorik@obihiro.ac.jp
【注意事項】
お車で来学される場合は,別紙の案内図に従って必ず指定された「ワークショップ臨時駐車場」 に停めていただくようお願いいたします。「ワークショップ臨時駐車場」以外の駐車スペースに駐車しないようお願いします。


