ホーム活動紹介>第2期短期派遣活動報告⑭ H25.9.10

 ○第2期短期派遣活動報告⑭

2013年9月10日

 今日は長期隊員の皆さんがエンカルナシオン市へステアリングコミッティに出かけられているので、ピラポの佐藤さんという日系の酪農家さんにお邪魔してきました。佐藤さんはお父さんの代から継いだ2代目で、搾乳牛73頭を飼育する酪農家さんです。ここでは餌の値段や牛乳価格など、詳しくお話を聞くことができて、今後の調査データの解析にとても有益な情報を得ることができました。

 佐藤さんは全部で約150頭の乳牛を飼育され、土地は90haほどあるとのことでした。土地の多くはメイズが作付けされています。メイズは年に2回作付けでき、さらに大豆も作付けするそうです。つまり、年に3作できるとのことです。帯広では考えられません。メイズはほぼ全量をサイレージに加工し、全頭に給与しています。ここの農家ではメイズのサイレージと配合飼料、乾草そして大豆殻を飼料としています。牛はフリーバーンで管理され、放牧はしていません。その点は帯広近辺の飼い方とよく似ています。やはり放牧するより、飼料作物を作り給与する方が効率的であると思いました。牛は現在1日平均20Lほど泌乳しているそうです。なので、1日におよそ1400Lの牛乳を生産しています。今回巡回している酪農家さんは1日に100Lを生産することを目標としているので、すごく大規模であるといえます。いつもは2000L搾乳できるときもあるそうです。その話はとても興味深く、このあたりでの酪農経営の難しさを知ることのできるエピソードでした。

 ウニダス農協出荷時の乳価は1300Gsから2000Gsまで大きく変動するそうです。乳質にる乳価の変動は少なく、その変動の背景には外国産の牛乳価格が国内価格より安い事による供給過多の影響、新規酪農家の参入が増加したこと、給食プログラムの実施の有無などがあるそうです。佐藤さんの経営では1700Gsが生産費なので、1300Gsだと大きな赤字を計上してしまいます。昨年は乳価が低くとても経営が厳しかったので、30頭ほどの搾乳牛を売却してしまうしか方法はなかったそうです。いくら乳質を改善したところで、乳価がこのように急落してしまったら、私たちが巡回しているような小規模農家への打撃は計り知れないものがあります。乳質改善へのインセンティブを失うだけでなく、酪農業の最大のメリットである安定した収入を得ることはできません。酪農家の信頼を集めるために、まずウニダス農協は乳価を安定させる必要があります。佐藤さんは経営を良くするために、無肥料での飼料作物生産、大豆作に取り組まれています。特に大豆作は酪農での損失を補うためかなり重要な作物だそうです。現在、設備投資を行っている段階なので、利益が出てくるまでは少し厳しい経営が続きそうです。

 また、飼料に関してもメイズサイレージの生産コストは400Gs/kg程度、大豆殻は600Gs程度と教えていただきました。特に大豆殻は国際大豆価格に大きく左右されてしまいます。そのため、大豆殻の供給が不安定であるため、安い時期を見計らって大量に購入しておくことが重要と教えていただきました。配合飼料も1500Gs/kgするそうです。これで、大体のコストを計算することができそうです。佐藤さんの話だけでは不確実ですが、一つの目安となったことは確かです。

 佐藤さんを訪問して、これほどの規模の酪農家でも小農と共通する問題はたくさんあることに驚きました。特に安く安定して飼料を確保するという問題です。酪農家の宿命ともいえますが、飼料の重要性を再確認するとともに、ここで見たこと、聞いた工夫や取組み事例を巡回してきた酪農家さん達にいかに身近なこととして伝えるかが大切だと思いました。
         

 <前へ

次へ>