動物・食品衛生研究センター
近年,大腸菌O157や鳥インフルエンザをはじめとする人獣共通感染症,大規模食中毒,遺伝子組換え食品,偽装表示など,「食」の安全と安心を脅かす深刻な問題が次々に発生しています。このような食の安全性を巡る危機的状況は,今日の獣医学術動向に少なからぬ影響を与え,本学においても,これらの問題の解決のために地域的特性や専門性に依拠した新たな教育研究拠点の形成が必要となりました。
本センターの目標は,”農場から食卓まで”の食の安全性を確保するために,動物衛生と食品衛生を科学する研究教育組織として社会に貢献することです。すなわち,本センターは畜産物の生産から流通・消費に至る過程で発生する,または発生が危惧される個々の問題に対処し,食の安全性確保に寄与するための研究拠点です。
本センターは,1)新興再興感染症,2)食品有害微生物,3)毒性解析,4)食品リスクの4研究分野で構成されており,各分野における主な研究課題は以下のとおりです。
新興再興感染症
新興感染症あるいは再興感染症で,特に畜産領域で重要視されるウイルス性の感染症や人獣共通感染症の研究を行い,これらの感染症の発生要因,発症機構の解明,診断・治療・予防法の開発をとおして,動物衛生や畜産食品の安全性確保に貢献します。
食品有害微生物分野
農畜産物流通のグローバル化により,食の安全性確保は国際的に重要な課題となっています。特に,サルモネラ,腸管出血性大腸菌,カンピロバクターなどの種々の感染症や多剤耐性菌の蔓延は,動物や畜産物を介して人々の健康を脅かしています。本分野では,細菌による人畜共通感染症および食品媒介性感染症の発症メカニズムの解明,診断・治療・予防法の開発をとおして,動物衛生や畜産食品の安全性確保に貢献します。
毒性解析分野
殺虫剤,抗生物質,細菌毒素などの化学物質に家畜が過度に暴露された場合,生産性の低下が危惧されるばかりではなく,家畜に濃縮・蓄積した化学物質が畜産食品を介して人に多大な健康被害を及ぼします。本分野では,食の安全を脅かす化学物質の毒性評価や毒性発現機構についての研究をとおして,動物衛生や畜産食品の安全性確保に貢献します。
食品リスク分野
畜産食品リスク要因となりうる微生物や物質などのリスク評価を行うことにより,人の健康被害に影響のある要因を科学的に解析し,これらを基にした食中毒や食品媒介感染症の制御・予防に関する研究を進め,動物衛生や畜産食品の安全性の向上に貢献します。


